釜石の日々

法の欠落

今朝も庭に氷が張り、霜柱が立っていた。愛染山の山頂部の雪を昇って来る朝日が真っ白に映し出していた。車の窓ガラスにも霜が降りていて、出勤前に専用具で取り除いた。街の中心部に向かう道路には所々内陸からやって来た車が落として行った雪が残されていた。信号で止まった隣の車線のクレーン車にも雪がそのまま積もっていた。復興作業のため内陸から出かけて来たのだろう。始業前に職場の裏山を見てみると、醤油工場の裏山にある銀杏の葉がかなり落ちてしまっていた。葉が落ちて枝の隙き間から背景の青空が見えるようになってしまった。飛んで来たヒヨドリが何を啄んでいるのか、枝をしきりにつついていた。 昨日、高知県は東海、東南海、南海地震が連動するM9クラスの南海トラフ巨大地震による津波被害予想を発表した。現在高知県の人口は75万人だが、その半数に達する38万人もが被災すると想定している。特に最大34mの津波が来ると予測されている黒潮町では町人口の9割が被災する予想だ。県内の死者数は4万9000人に上るとされる。先週金曜日の三陸沖地震は気象庁により「当初説明した単純なアウターライズ型地震ではなく、複数の断層面が動いた可能性が高い」と訂正された。しかし、いずれにしてもM8クラスのアウターライズ型地震が今後も発生する可能性があり、注意が必要だとする。今日の午前1時53分にはインドネシア東部のタンニバル諸島沖のバンダ海でM7.1の地震も起きている。太平洋周辺は地殻の動きが連動しており、互いに圧力を及ぼし合っている。その歪みは何か所にも及ぶ。昨日、群馬県渋川市の金井東裏遺跡で6世紀初頭の榛名山二ツ岳の噴火に巻き込まれて亡くなったよろいを着た成人男性の人骨が発見されたと発表されている。火山の噴火も地殻の動きと連動する。日本列島はもともと大陸から分かれた二つの島が現在の中央地溝帯(フォッサマグナ)で繋がった、極めて変化の強い地帯にある。四つのプレートが接しており、他地域以上に地殻変動の影響を受けやすい。その列島に54基の原発と最悪の再処理工場がある。福井県敦賀市の日本原子力発電敦賀原発の断層再調査を行っていた原子力規制委員会は、昨日、2号機原子炉建屋の直下を通る断層について、専門家5人全員が「活断層の可能性が高い」と評価し、再稼働は難しい可能性が出て来た。原子力規制委員会の現地調査団メンバーで、活断層が専門の鈴木康弘名古屋大学教授によれば、30年以上前の2号機建設時に行われた国による安全審査で、今回問題となった2号機直下の破砕帯(断層)や敷地内の活断層をすでに日本原子力発電が追加調査しており、審査では日本原子力発電の「問題はない」という主張をそのまま認めていたことが明らかにされた。活断層であることは明らかになって来たが、現在の法律では、原発建設時に活断層のあるところには建設を認めないという規制は可能であるが、建設後に活断層が発見された場合の規制は厳密に言えばできない。電力会社に対してはあくまで運転停止を「要請」出来るだけである。しかも原子炉等規制法に基づく運転停止の強制力を原子力規制委員会が持つのは来年7月からになる。一種の法の欠落だ。日本原子力発電にとって運転停止は、廃炉になることを意味し、その費用を含めれば経営的に極めて窮地に追いやられる。様々なルートから次期政権への強力な働きかけに走るだろう。
朝日が映し出した愛染山
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