釜石の日々

「熱狂感なき株高」

地震が発生した土曜の夜は、まだ起きていた。久しぶりに長く揺れた地震であったが、震度は4で、滑り落ちやすいものが2〜3落ちただけであった。太平洋での地震でも、岩手県ではいつも震源地に遠い内陸の方が、沿岸部よりも震度が高い。今回も内陸では震度が5である。昨日朝までにもM4前後の余震が20回以上続き、昨日はM5.2の地震もあった。この経過がちょうど東日本大震災の地震の経過に似ていることから、さらに強い地震が来る可能性も言われている。震災のあった2011年には、3月9日にM7.3、翌日10日にM6.4、そして11日にM9.0の本震が来た。大阪や米国フロリダでは、ほとんど大きな揺れの地震を経験していない息子は、驚いて二階から降りて来た。震災後気仙沼でボランティアを1年ほどしていた間に、何度かの余震は経験していたが。東北の太平洋側を震源とする地震が来ると、いつも心配になるのは、やはり原発である。今回は福島第二原発で核燃料の冷却水プールで、漏れが起きている。福島の震度6は原発関係者の肝を冷やす揺れである。石川県の小松基地からは即座に自衛隊機が福島上空へ飛び、情報収集に当たっている。地球上で4つものプレートが集まる極めて稀な、最も地震や火山噴火が起きやすい日本列島に50を超える原発を設置している。福井県の若狭湾周辺などは「原発銀座」とさえ言われる。日本列島はどこで大地震や火山噴火が起きてもおかしくない地形である。地球上で、日本列島ほど原発を避けなければなら無い地形はない。新型コロナウイルスは持病のある人や高齢者を犠牲にするが、原発事故は若い世代で最も犠牲を大きくする。若狭湾周辺には、原発13基と研究炉2基があり、福島第一原発でさえ、世界に類のない原発6基が並んでいた。クリーンエネルギー、脱CO2と称して、政府は今も原発推進を行なっている。福島の犠牲者では足りず、更なる大地震による原発事故の犠牲が出なければ、原発をやめようとはしないようだ。コロナ禍も今では人災であるが、原発事故は100%人災である。いく人かの研究者の警告を無視して、原発を建設して来た。 地震があっても今日の日経平均株価は1990年8月以来、30年半ぶりに3万円の大台に乗せ、ロイターは「財政拡大や金融緩和でカネ余り」、「熱狂感なき株高」と報じている。最高値を更新し続けた米国株に比べてアジアの株が割安に見られるようになり、米国の投資資金もアジアに向けられている。コロナによる国民の自粛や本格的な企業活動の抑制の中で、経済の実体とは乖離した株価の高騰が起きている。金融緩和が株高に繋がるのは当たり前であるが、コロナ禍での財政拡大が何故株高に繋がるのか。コロナ禍での財政政策は、本来、コロナ禍で困窮する個人や企業の救済が目的であるはずだ。そんな個人や企業には株式に資金を投じる余裕などないはずである。しかし、現実にはその財政政策で潤った個人や企業がさらに資産を増やそうと株式に資金を投じているのだ。コロナ禍を口実に政治家に寄り添う個人や企業が政府からの財政支出で潤っている。その政府支出は膨大な債務からのものでもある。ここまでの異常を誰も異常だと強く訴えることなく、当然直視もしない。日本銀行さえ黙って輪転機を回していれば大丈夫と思っているのだろうか。まるで子供のおもちゃのお金が社会に流れているかのようだ。世界の先進国はもはやまともな経済成長率を維持出来なくなり、資産が極端な少数に集まり、その少数はさらに資産を増やそうとする。それを中央銀行の大量通貨印刷が助けている。資本主義の歪みが極点に達している。その歪みをもたらしたのが新自由主義とセットになった金融経済である。徹底したコスト削減により、目先の利益だけを追うことが企業家の役割とされた。民営化や企業買収はその典型例である。日本の高度経済成長を支えた企業家のあり方は全否定された。日本は本来、この時の企業経営を続けるべきであったが、米国によりまさに日本が米国資本の標的にされ、新自由主義の名で、あたかも正統な経済手法であるかのようにして、日本の名だたる企業が国営企業とともに喰い物にされて行った。日本での旗振り役がパソナやオリックスの関係者である。米国資本が途切れると、新自由主義の土壌へ次に入って来たのが中国資本である。最終的にはどの国の資本であれ、国民が豊かになるのであればいいが、新自由主義は非正規雇用が基本のため、国民は貧しくなるばかりである。新自由主義とセットになった金融経済こそが格差拡大の元凶である。コロナ禍がそれを見事に露わにさせた。
ホオジロガモ(頬白鴨)
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