釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

動植物の低温での機能休眠

2012-10-28 19:19:43 | 自然
今朝起きていつものように愛染山を見ると、山影を横切るように雲が流れていた。山頂はしっかり見えていたが、空全体を雲が覆っていた。午前中から雨が落ち始め、その後本格的に雨になった。今日は仙人峠マラソンの日だが、どうなっただろう。平地より高い位置ではもう少し雨の勢いが強いはずだ。近くの山に目をやると、この数日で色付きが進んで来ているようだ。晴れていれば、釜石側から仙人峠へ向かうのを避けて、鵜住居から笛吹峠を越えて、一旦遠野に入り、遠野から仙人峠へ向かおうかと考えていた。しかし、雨になったので今日は家に留まることにした。家の玄関先にある杏の木を見ると、先日からの強めの風のせいかほとんどの葉が散ってしまっている。近所の公園の桜の葉も雨でかなり下に落ちていた。樹木は低温と乾燥に弱く、気温が低くなる地域に育つ樹木は、葉を落とすことで冬場の低温期に休眠状態になってその時期をやり過ごす。環境への見事な適応だ。葉を落とすために葉への養分の供給を絶って行く。それが秋の紅葉として人の目を楽しませてくれる。ある意味で落葉樹に見られる葉の老化が紅葉と考えることもできるだろう。そう考えれば、老化も決して悪くはないように思えて来る。人間の勝手な考えではあるが。東北では落葉樹だけでなく、月の輪熊も冬場は冬眠に入る。熊にとって秋は冬眠に備えてブナやミズナラの実、ドングリを食べて栄養を蓄えておく時期でもある。それらの木々の実りは熊たちにとって極めて重要だ。今年のようにドングリの実りが悪いと、代わりの栄養を求めて、里近くまで下りて来ざるを得なくなる。昔は杉の植林などなかったため、ドングリが成る木々もたくさんあった。熊は山の中だけで十分冬に備えることが出来た。しかし、人が植林をするようになると、山のドングリは限られるようになり、そのドングリの実りが悪ければ、里へ下りなければならなくなった。熊は冬眠に入ると栄養の消費を最低限に保つため、体温を下げ、排泄機能なども止まってしまう。人は何ヶ月か動かない期間があると筋肉や骨が萎縮するようになるが、熊の場合はあまりそうした影響はないようだ。今年2月17日にスウェーデン北部ウーメオ近郊の林道で、雪に埋もれた車が見つかり、車内に2カ月間食料なしの状態で閉じ込められていた45歳の男性が救出されている。この男性は、閉じ込められている間、後部座席で寝袋に入り、雪を食べていたということだが、搬送先のウーメオ大学病院の医師らによると冬眠状態になったことが生存の要因ではないかと話している。「クマが冬眠するようなもの。人間でも可能だ。恐らく、彼の体温は31度前後になっており、そのおかげで体力の消耗が抑えられたのだろう」と言う。日本でも2006年10月31日に兵庫県の六甲山の山の中で35歳の男性が24日間仮死状態でいたところを発見されている。発見時直腸体温は22度だった。周辺部では排泄物も見られなかった。従来は30度以下の低体温や10日以上の絶食では生存できないと考えられていた。やはり、人間にもある条件下では低体温の冬眠が可能なようだ。いずれの例も治療後はまったく健康に異常なく日常に復帰出来ている。
近くの山の色付き

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