釜石の日々

雨と紫陽花

釜石の市街地では紫陽花が見られるようになった。通勤で通る甲子川沿いでも例年のごとく紫陽花が列をなして咲いて来た。一部では柏葉紫陽花や額紫陽花も見られる。紫陽花の原産地は日本であり、原種は額紫陽花だと言う。岩手の産直では山紫陽花がよく売られており、実際にも釜石近郊の山で山紫陽花が咲くのを見たことがる。おそらく、この山紫陽花が元々の紫陽花であったのだろう。しかし、一般の紫陽花と山紫陽花では葉の形が違う。花も山紫陽花はずっと小さい。山紫陽花が改良されて一般の紫陽花になったのかも知れない。万葉集では二首だけ紫陽花が詠われている。紫陽花の語源は「あぢさヰ」から来ているらしい。「あぢ」は特に小さいものが集まる様を表し、「さヰ」は「真藍( さあい)」あるいは接頭語の「さ」と「藍(あい)」で、青いを意味し、青い小さな花が集まる、となる。紫陽花の色は本来青だが、土壌が中性~弱アルカリ性だとピンクになる。「アントシアニン」と言う色素が紫陽花にはあって、土壌中のアルミニウムが吸収されて、アントシアニンと結合すると青になる。土壌中のアルミニウムは酸性下で溶け出すそうだ。雨は空中で二酸化炭素を吸収するため、土壌は酸性になることが多い。梅雨の時期に紫陽花が咲くのも、この雨とも関係があるのだ。紫陽花の学名は「Hydrangea」と言い、ギリシャ語で「水の器」を意味する。和名の紫陽花は平安時代の学者が中国の別の花の名を誤用したもので、日本の紫陽花は中国では「八仙花」とか「綉球花」と言うようだ。紫陽花を見て、一見、色の付いた花びらのように見えるものは、実は花ではない。色が付いているのは萼(がく)で、花はその中程に小さく点のように見える部分で、開花すると、その点の中から雄しべのような花が開き出る。東北では夏の日射しとなった7月に咲くが、風は比較的涼しく、周囲ではウグイスが鳴いたりする。
甲子川沿いの紫陽花

額紫陽花

山紫陽花

柏葉紫陽花
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