こころのたね

ここでまく種が、どこかで花を咲かせてくれたらいいな(*^_^*)
2018.8月より再開!母になりました✨

『永遠。』

2010-06-04 21:28:31 | 

村山由佳さんの『永遠。』という本のお話しです



あらすじ

父一人に育てられた徹。
その幼馴染で、夜の仕事をしている母(葉月)一人に育てられた弥生。

葉月は亡くなる前、かつて別れた恋人(弥生の父親)のことを、娘の弥生と幼なじみの徹に話した。
弥生はその男の向かいの部屋に住み、彼の講義を聴きに短大に通った。
「お父さん」と、一度も告げられずに。

弥生の卒業式の日、色々な人の思い出が詰まった水族館で、徹は弥生の帰りを待つ――。




                                   

徹が弥生を待っている間の回想と、 再会してからの2人の会話で成り立っています

これは映画、『卒業』のサイドストーリーとして書かれた本だそうです
私は映画をまったく知らずに読みましたが、ついていけましたよ
短く、あっさりしていて、読みやすかったです

この本を読もうと思った理由は、図書館でパラパラ見ていると、水族館での出来事が描かれていたから
どんだけ水族館好き!?とつっこまれそうですが(笑)

葉月さんが残した言葉に、色々ハッとさせられました

                                   



心に残ったところ

「その時ねぇ。私、初めてあのひとがわかった気がした。
 ああ、このひとは、いろんなことに気づいてないんじゃない。
 何にも言わないから鈍いみたいに見えるけど、本当は逆なんだ。
 思ったことをなかなか口にしてくれないのは、
 言葉にするとこぼれてしまうものがたくさんあるってことを、
 よく知ってるからなんだな、ってね」


「一度誰かとの間に芽生えたつながりは、ずーっと消えずに続いていく。
 たとえ、かたちを変えて、いつか思い出の奥にしまわれてしまったとしても、
 かつてそのひとと心をやりとりしたっていう記憶だけは、永遠に残るのよ。
 そう――ちょうど、海の底に沈んだ宝石みたいにね」


「人を恨みながら生きても、誰かと笑い合って生きても、同じように人生は過ぎていっちゃうのよ。
 あんたなら、どっちを選ぶ?」


忘れまいと思うことから忘れていき、忘れたいことほどいつまでも忘れられない。
でも、きっと誰もがそういうものをかかえているんだろうと俺は思った。
<一度誰かとの間に芽生えたつながりは、ずーっと消えずに続いていく>
だとしたら――どんなに忘れようとしても忘れられないのは、
もしかすると、それが忘れてはいけないことだからなのかもしれない。
そんなふうにして人は誰も、ほんとうは大切な誰かのことを、いつまでも記憶に刻んでいくのかもしれない・・・・・・。