「東濃リニア通信」    <東濃リニアを考える会>

国土交通省がJR東海のリニア中央新幹線計画を認可しました。このとんでもない暴挙は、必ず歴史が証明します。

9日パートⅡ    「真冬の南アルプストンネルでリニアが緊急停止したら、乗客はどう避難するのか?」(樫田さん・深田さん)

2021年08月09日 13時29分29秒 | 日記
9日パートⅡです。
「深田 和秀さん」が「リニア新幹線を考える静岡県民ネットワーク」のフェイスブックに投稿された記事を転載させていただきます。 
深田和秀
 リニア、真冬の南アルプスのトンネルでリニアが緊急停止したら、乗客はどう避難するのか?「十分な冬山装備と体力がなければ、乗客は命の危険に曝される」→「保守用通路を徒歩又は保守用車両等により避難は可能」→「保守車両の台数、1台当たりの収容人数、保守車両の常駐運転要員の人数は?」→「釈明の必要が全くない」

 <樫田秀樹さんのブログをリンクさせていただきます。>
   「記事の裏だって伝えたい」 



 
●「山男」である弁護士からの求釈明
 リニア裁判のなかで山梨県南アルプス市の住民が提起した「工事差止」裁判の原告と被告との準備書面を読んでいる。
 山梨裁判では、南アルプス市における約5Kmの区間の工事差し止めを求めるが、ただ一人の原告側弁護士である梶山正三弁護士は、学生時代から南アルプスの山に入り浸る山男である。つまり南アルプスの四季を熟知している。そのうえで、リニア計画の南アルプスルートでの疑問を「求釈明」という形で準備書面に盛り込み、被告につきつけている。
 求釈明とは、原告からすれば、被告に回答してほしい質問を投げることだが、これに回答することは義務ではない。ただし、無回答であれば、裁判所への心証は悪くなることもある。
 今回、ここでは、その疑問の中から「乗客の避難」について、整理してみた。
●お客様同士で助け合っていただきます
 2012年。JR東海は環境影響評価法に拠らない独自の住民説明会を各地で開催した。
 私も何度か参加したが、説明後の質問時間でこう質問したことがある。
「もし厳冬期の南アルプスのトンネルのなかで、リニアが緊急停止した場合、非常口までどうやって、高齢者や小さい子ども、障害をもった方がいる方々を含む1000人の乗客を誘導して避難できるのか」
 これに対してJR東海は「何かしらの道具は用意しますが、お客様同士で助け合っていただきます」と回答した。確かに、人間同士助け合うのは大切だが、それが先に来る答えだろうか。
●十分な冬山装備と体力がなければ、乗客は命の危険に曝される
 で、梶山弁護士に話をうつすが、20年9月30日の第4準備書面でこう述べている(要約)。
★「南アルプスのリニア非常口あたりの土被りは 300~400m あるので、停車した列車から避難する乗客は、避難路である斜坑を辿って、この標高差を歩かなければならない。この標高差を克服しても、外に出た避難者は、厳冬期の南アルプスでは、1~2m の積雪に行く手を遮られる。 十分な冬山装備と体力がなければ、ここから先の脱出は困難。即ち、乗客は命の危険に曝される」
←準備書面に添付された厳冬期の南アルプスの写真。
 これに対して、JR東海は20年12月28日の準備書面(6)でこう反論する
▲「厳冬期の南アルプスでも避難は可能。保守用通路を徒歩又は保守用車両等により避難は可能。非常口の出口から市街地までは,徒歩ではなく,整備された道路を利用して自動車により移動することが可能。非常ロの出口に避難用の自動車が到着するまでの間は,気温変化が小さく,風雨を凌ぐことができる卜ンネル内で待機することが可能」
 これ以後は、以下のやり取りが続く(★が原告。▲が被告)。
★21年1月23日の第5準備書面。「求釈明6。リニアの列車から降りた乗客が、千石非常口又は西俣非常口に至るまでに利用できる「保守車両」の台数、1台当たりの収容人数、保守車両の運転要員の常駐人数の計画を明らかにせよ」
「求釈明7。各非常口から市街地までの「整備された道路」の具体的計画。積雪期の道路の保守管理計画を明らかにせよ」
「求釈明8。積雪期で、当該道路を使い、各非常口までに至る日数及び市街地まで避難する乗客を乗せて移動するのに要する日数を明らかにせよ」
▲21年3月16日の被告準備書面(7)。「原告は、繰り返し求釈明の申し立てを行うが、いずれも証拠探索的なものであって、釈明の必要が全くない」
 この「無回答」に対して、梶山弁護士は憤りを爆発させた。
●21年4月12日の第6準備書面。「云うことがまともでない。『証拠を探索』して何が悪い。被告は、少なくとも建前としては、「公益性のある公共事業」をやっているつもりなのである。積極的に情報を開示し、被害を受けるべき立場に居る人々に丁寧に説明するのが当然である」
 私も、準備書面を読み、ここまで回答をしないことに驚いた。
 なぜ、ここまで回答を拒否するのか。
 20年2月1日。梶山弁護士は第2準備書面で、事実を明らかにしようとしないJR東海の姿勢を次のように批判している。
「ヒトの痛みを微塵も顧慮することのない被告の対応は単に認められないというに止まらず、“驚き”である。 要するに、釈明を拒否した被告の事情は、以下のとおり。 “有効な地震対策は皆無”、工事の遅れについては、“遅れすぎているので答えるのが恥ずかしい”、南アルプストンネルに係る地質調査に関しては、“ほとんど何もやっていないので答えられない”、静岡問題、大井川問題については、“全く先が見えないので答えられない”、騒音の周波数特性については、“ちゃんと調べてないので答えられない” 」
 今回は「避難計画」だけを取り上げたが、原告は他にも様々な求釈明を行っている。だがJR東海はほとんどを無回答。
 私見だが、これは裁判所の心証を相当に悪くしている。というのは、21年7月6日の第8回口頭弁論で、鈴木順子裁判長がJR東海に対して「被告は求釈明に答える予定はありますか?」との質問を発したのだ。
 JR東海の代理人は「必要な範囲で対応する」と答えたが、さて次回、それが書面で出てくるかだ。
 次回の口頭弁論は、10月19日11時。甲府地裁。
                           以  上
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「南アルプスの自然を守るた... | トップ | 「リニアの大深度地下シール... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事