ノー・シグナル 2014-01-26 | ピープル 岬に分け入った小川をたどると 息が切れるような坂道に出る その道も岬のうちで せいぜい上り詰めても標高30メートルというのだから その小川の小川であることのほうが不思議だった 山頂には小さな石積みの社があり その社の手水の底には 干からびた椿が幾重にも重なって積もっていた 花を近づけても椿の花に香りはなかった ないというのに 椿に香りを感じるのは鬢付け油の記憶か はたまた空想としての椿が醸す香か 香を感じるのだ 私の五感が