針

縦糸　横糸　つなぎ止める糸





結ぶ糸





あわすファスナー




たくさん重なって
一つの服


第四回我風展

5月10日から15日
松本市美術館市民ギャラリーＡ
9時～17時
入場無料

今年もやります


　

春陽

一つずつひらいて
一つずつ続いている
一つずつ歩んで
一つずつ春は光

みみ

リノリュームの床のきしみさえ
みみをそばだてている


こころの耳がたっていると
風のけはいさえ声にきこえる



喧嘩もしたけれど
おなじ回数なかなおりした

あれは喧嘩じゃなかったね
ただわかり合いたくて必死で

こころの耳をそばだてていた
たがいの未来がめばえる音をききたかっただけ

こころの耳がたっている
ゆうやけ色にたっている

宙

反っくり返って
空は宙になった

わたしたち
宇宙の中じゃ塵みたいな存在？
そうかもしれないねと
あなたはいった

でもね
ここにある
心の宇宙は
いつだって満たされようと
求め合っているじゃない

どうしようもないほど小さな塵が
集まって集まって
地球になって
太陽になって

ほら今
笑っている
私たち

空は宙
どこにいても繋がりあって
宙は空

私たち

あこがれ

手にとってご覧
火傷するぐらい
それは熱い

遠くにあれば
胸が焦がれて
いたたまれない

ちょうどいい距離は
なかなか
見つからない

五感の記憶

ぬめるように感覚をたどって
ぬめるような感触が指に復る

五感で味わったことの
たましいの真んなかに
確かめて目を閉じる

忘却

忘却という時間はどこにでも転がっているんだよ
なぜなら
人はいつでも今を生きるための
新しい物語を欲するから
忘れたというのは
忘れられないことの裏返しで
それがもう
私と同化してしまった
証なんだ

ことしもよろしくおねがいいたします

ことのはの
うまれてきえて
うまれでて
としたちかえる
ゆきのふるまに



羊が大きく育つを持って
「美」
というのですから
こんな年は大きく
「翔」
ねばなりません

ことしもどうぞ宜しくお願いいたします

虚脱

ときどき言葉が苦しくなる

言葉にならない想いばかりが
手元に残って

虚空

黎明の青みを深める空に目を閉じた