ヒヨちゃんが行く!

松本市在住「大平滋子」の写真と詩のブログ

ビタミン

2013-08-30 | ことば




ほとんどの場合
自分じゃ作れないから
食べ物から
いただく
特別な物質

特別を探した
痕跡は名前に
残っている
ビタミンIも
ビタミンHも
ビタミンVまで

特別を探した
人の歴史が
詰まっている
ビタミンという
言葉



影絵

2013-08-28 | ピープル



子どもと影



はねて
走って
ポーズして



のぞき込んで
振り返って



ここにいたんだねって
自分の影と
話し出す



お母さんに怒られても平気だよ



ぼくの わたしの わたしの ぼく
影と わたしと ぼくと かげ

 

音もなく

2013-08-26 | ネイチャー 




アールを描いて
トンボが
横切っていく

数えられないほどの
トンボ
横切っては
見えなくなる
音もなく

雨が降りそうね
コスモスは
天を仰いでいる

雨受けの杯は
トンボを数えて
声もなく
潤んでいる






シュヴァルツヴァルト

2013-08-25 | ピープル




ガラス窓
影の部分だけ
向こうが見える

シュヴァルツヴァルト

黒い森が
浮かんでくる

八月が尽きようとして
夏は森になる

鮮烈なものの
影は濃い
その影に
九月の透明が
ひっそりと
息を吹き返す

シュヴァルツヴァルト

夏の終わりの
黒い森の袂



 

秋の気配

2013-08-24 | ざれごと日記



目覚めれば 霧の朝



まだ夏の気を帯びた
陽光が容赦なく大地を
あたため
霧は瞬く間に消えた





それでもそこには秋の気配
稜線を這うように流れる雲が
細くなっている

夜の間に秋を乞う虫たちが
秋乞いの歌を捧げている

ビロードの襞で
秋をまといに行こう
真っ赤に仕立てた
蜻蛉の細い腰が
山から下りてきた