ヒヨちゃんが行く!

松本市在住「大平滋子」の写真と詩のブログ

蒼 青 碧

2015-06-27 | ことば



緑陰に青を見つけた人が
草でできた倉にくさかんむりをつけた


花崗岩質が作る白肌でできた深い谷は碧
水底から伝わってくる透明があって白い石の王


月夜の青は雲によってますます深く見える
突き抜ける思いを青春と呼ぶ


多くの人々を蒼生(あお)と書く
群れた青で群青 宝石を砕いて作る海色の夢





痛み

2015-01-16 | ことば



痛いとは言えなかった
診察台の上
呪文を描くように
中指で「痛」と書く

病垂に甬(用いる)
何を用いるのだろう
痛い

まだ処置は終わらない

の字が中指の先で
踊り出す

涌(わく)
通(とおる)
樋(とい)
踊(おどる)
蛹(さなぎ)
誦(よむ)
鯒(こち)

ようやく処置から解放されて
今度は薬指で
「痛」と書く

通り過ぎねばならない痛みが

人生を豊にしてくれればと
祈るように降りた
診察台の少し暗めのベージュ色

 




太陽

2014-12-19 | ことば






歌論集をよむ
古の人のなんと月の句の多いこと

もうじき一陽来復 冬至が来る
今年は旧暦の朔日にも重なるという

もう日没時間は延びて
夕方が明るくなった

明るくなる時間が増えると
ただそれだけで嬉しい
どうせ詠うなら太陽の詩を詠いたい


ユキクモル

2014-11-07 | ことば



ユキグモル(雪曇る)
などという言葉はありませんし
まして
ユキクモル
という言葉もないでしょう
けれども
これを並べ替えると
クモキユル(雲消ゆる)
と真逆な意味に

外に行くのがおっくうになって
脳内遊びの季節の始まりです