昔の望遠鏡で見ています

昔の望遠鏡による天体観望と、その鏡景写真についてご紹介します

15cmF12で星を見る

2022-07-31 | 天体望遠鏡


 天文台の貸出用望遠鏡は、4機ある。それは、40cm反射,15cm屈折、そしてイプシロン180とBRC250のアストロカメラだ。今回は15cm屈折を借りることができた。その昔、据付の15cm屈折赤道儀を使うなどということは、夢のまた夢であったので、特別な楽しさを感じた。




 制御用のコンピュータを接続した後に、主鏡の蓋を外す必要があるのだが、鏡筒を水平近くにもってきても手が届かないので、脚立を使う。上に登って取付ネジを回すと、蓋にだるま穴が切られているのが判り、使い易いように考えられているのを感じる。対物部をよく見ると、右側に光軸修正用と思われるボルトの一部が見えた。




 次に接眼部の造りを見てみる。最大まで繰出してみると、造りは大型だが、繰出し長さは約60mmと極小であった。付属の接眼鏡は、T社のLE50~5mmで、2インチ天頂ミラーはTV社のものであった。付属の延長筒もこれらの使用が前提のようで、持参したP社の接眼鏡や、昔のドイツサイズ接眼鏡を利用する際には、少し長いようだった。今回は、自宅から短い延長筒を持って行ったので、それも場合に応じて使うことにした。




 当日の天気は湿度が高く、透明度は良くなかったが、その分シンチレーションはまずまずだったようで、340倍と240倍で土星を見ると、ふっと良く見える瞬間が訪れるのが判った。アンタレスの伴星も、いろいろ接眼鏡を変えて見てみようと試みたのだが、どうもはっきり見えなかった。このことについては、またチャレンジしてみたいと思う。対物レンズを知るべく、高倍率で恒星の焦点内外像を見てみると、外周部にそれぞれ赤と青色を少し感じた。一世代前のEDアポなので、このことは致し方のない事なのだろう。




 星雲星団や二重星などを観望した後に、LE50を取付けて34倍(視野;約1.5度)で星野を見てみる。高さを調節できる椅子に座りじっくり見てみると、視野の中には気持ちの良い像が広がり、ずっと見ていたくなるような気持ちにさせられた。この時に長焦点屈折の安定した像は、何物にも代えがたいものだとつくづく感じた。