昔の望遠鏡で見ています

昔の望遠鏡による天体観望と、その鏡景写真についてご紹介します

ウラノス号に足が無いわけ

2019-07-28 | ウラノス号
 ウラノス号にはその製造年代別に、1型から5型まであると言われています。それらの情報を見ていますと、2型までは一式の形で紹介されていますが、3型以降は、なぜか三脚が無いものが多くあります。この理由の一つが、収納箱にあることに気付きました。




 3型(フードなし)の収納箱の画像です。三脚の収納スペースがありません。4型の格納箱も、同様です。それで三脚と三脚架台は、別に保管する必要がありました。現存するウラノス号は、一番新しい5型でも昭和30年代の製造ですから、半世紀以上が経過しています。その保管の最中に、三脚部は何の望遠鏡のものか判らなくなり、処分されてしまったのだと思います。逆に望遠鏡本体と経緯台部は、ずしりと重い、そして造りの良い箱に入っていますので、残ったのでしょう。
 現代の望遠鏡は、鏡筒用を除き格納箱そのものが少なくなってきていますので、将来は一式の姿がより希少になるのではないかと思います。ただし、基本がシステム型ですから、そもそも決まった形が無いので、心配は不要かもしれませんね。

旧高橋赤道儀のウエイト軸

2019-07-26 | 天体望遠鏡
 

 
 さてこれは、何でしょう。ご存知の人は、少ないと思いますが、これは、タカハシの今はなき8cm赤道儀のウエイト軸です。




 このように、赤道儀側のボルトの外側にねじ込んで組立てます。その頃のD型や10cm反射用赤道儀も、ウエイト軸の外側にねじこそなかれ、同様の造りでした。難加工である深穴加工を、細い軸に施工するのは、やりにくかったと思います。きっと、赤緯軸を固定しているボルトの利用を、第一に考えたのでしょう。その後、このタイプは製作されなくなりました。




 

天文の中の茶の湯

2019-07-21 | 天体望遠鏡
 以前テレビ番組で、あるグラフィックデザイナーが晩年に茶道を楽しむ場面があり、「茶の湯は、質素というものが豪華というものに劣等感をもたず、楽しむもの・・」というくだりがありました。
 これを聴いて、大きな望遠鏡や山上の星月夜にはかなわなくても、自宅の前から愛用の古スコで星を楽しむということは、価値があるのではないかと思いました。
 50年前の望遠鏡を磨き上げ、手動赤道儀に載せてゆっくり星見を楽しむのが、私の場合の茶の湯かなと思います。




 この接眼鏡は、いい具合に塗装が剥げ下地の真鍮がのぞいていて、古い茶碗に負けない侘び寂びを醸し出しています。いうなれば茶の湯における、小さな銘器でしょう。

ニコン8cmのナニコレ

2019-07-20 | 天体望遠鏡


 日本光学8cmF15鏡筒の接眼部に、金属製の板がねじ止めされています。表面がきれいに磨かれているので、何かの基準なのかなと思い取説を見ましたが、何も記載されていません。そこで、外してみると・・・。




 金属板の裏側には凸の部分があり、つや消し塗装が施されていました。




 鏡筒側を見ると、スリットが加工されているのが判ります。そうです、接眼筒を直進させるためのガイドでした。なにも黒色の接眼筒に、金属光沢の面をわざわざ見せる必要も無いようにも感じますが、デザインの一つなのでしょう。実際、良いアクセントになっているように思います。




 なお、この望遠鏡の接眼部のストロークは60mmです。五藤8cmの120mmに比べると短いですが、ガタを出さない方に重きを置いたためなのだと思います。
 50年位前の製品ですが、今でも立派に通用する、かっこいい望遠鏡です。

天文台での催物ほか

2019-07-14 | 天体望遠鏡


 土曜日の17時から45分間行われる仙台市天文台のトワイライトサロン。土佐台長のお話を伺ってきました。無料で飲食可という自由な雰囲気のもと、行われています。ロビーの一隅で行われているため、後方からは館内音楽も聞こえてきます。聴衆の一人はボランティア活動を行っているのでしょうか、事前に台員と話をしていました。もっとも、その方は全天に肉眼で見える星の数はという問いに、6万個と答えていましたので、初心者なのかもしれません。逆の意味では、幅広い人の集まりとも言え、天文台設立の当初の目的は達成されているのだと感じました。台長の話は、初心者向けではありますが、ところどころに博識がにじみ出るものでした。宮沢賢治の銀河鉄道の夜の一節の紹介では、女性司会者の朗読もありましたが、プラネタリウムの解説もされているのでしょう、素晴らしいものでした。夏の天の川の解説が主でしたが、白鳥座の説明の際には、ゼウスの化身で、ここでは話をすることが出来ない物語があると、さらりと話をされていました。双眼鏡の説明では、自身が愛用しているものとして、ニコンのダハプリズム式8×42と五藤のスタークルーズ842の写真を並べて紹介していました。天文台は、指定管理者が五藤ですので、気遣いもあるのでしょう。先のゼウスの化身の話も含めて、天キチをもニヤリとさせる奥の深い解説が聞けるものでした。






 天文台の工作室に、ニコンの10cmが保管されていました。よく見ると、ファインダーに目張りがされ、接眼部には鏡のようなものが取り付けられています。五藤の古い望遠鏡に付属していた、太陽投影装置のようなものかもしれません。






 五藤の太陽投影装置は、リレーレンズとプリズムが組み合わされているものです。画像は、ティーガルに取り付けて、障子に投影してみた時の様子です。大勢の人に説明するのには便利なのですが、普及しなかったのには何か訳があるのでしょう。