昔の望遠鏡で見ています

昔の望遠鏡による天体観望と、その鏡景写真についてご紹介します

新型プラネを双眼鏡で見る

2023-05-15 | 日記
 天文台のプラネタリウムが新しくなった。天の川も、17.5等までの一つ一つの星で映し出されているという。同好会の例会で、T元台長が双眼鏡の使用を奨めていたので出掛けてみた。




 コロナ対策も一段落し、検温器は無くなった。入口には、手指用の消毒液のみ設置されていた。




 投影が開始されると、周囲の景色がリアルに表現されているのに気が付く。星見に行く高山は南西に、子供を連れて行ったスキー場は北西に見えるのだが、空が茜色に染まっていく時に、いつも見回してしまうのも不思議なのである。暗くなって初めに投影されたのは、季節を先取りした夏の星空だ。さそり座のアンタレスの色も良く判るし、尻尾にかけてのS字の並びもはっきり見える。天の川も、従来より自然なのであろう。
 見とれてしまいそうになったのだが、慌てて膝の上の双眼鏡を持ち上げて覗く。すると天の川の中の星雲星団が、星の集まりとガスの集まりが区別できるくらいに細密に映し出されていた。暗黒星雲も、良く表現されているのが判る。実際の星空で、こんなに見えた事はないのだが、光害の無い星空ではこのように見えるのかもしれないと思った。

 面白いと思ったのは、1等星から6等星まで任意に消灯できる機能を紹介された時だ。6等星までの星々を全部消しても真っ暗にはならず、天の川の部分は見えていた。「6等星までしか写っていない天体写真には、天の川は写らない。」のに「6等星までしか見えない肉眼で、なぜ天の川は見えるのか。」という逆説的な問いを思い出す。こういった星空の不思議さを説明するのにも、新しいプラネタリウムは役に立つのであろう。




 今回は、CF式の双眼鏡を持参したのだが、使う際はピント合わせに忙しかった。これは、視野を振るとドーム内壁との距離が変化するので、致し方ないのだろう。