昔の望遠鏡で見ています

昔の望遠鏡による天体観望と、その鏡景写真についてご紹介します

テレパックと雪山

2023-01-31 | テレパック

 今日は早く家を出て、もやの少ない雪山を背景とした鏡景写真を撮影する。そして、すらりとした三脚に載った長焦点屈折鏡の格好良さに、改めて惚れ直す。遠くの山々も、とても綺麗だ。あの雪が融けたら古スコを持っていき、思う存分に星を見てみよう。

冬の晴間のテレパック

2023-01-24 | テレパック


 青空がどこまでも続く日の午後に、鏡景写真を撮りに出掛ける。街中を過ぎ視界が開けると、いつもは雪雲に覆われる山々が、その陰影をうっすらと現していた。大地からの水蒸気と畑の緑に春を錯覚するが、水音も小鳥のさえずりも聞こえない。じっと我慢の生き物たちと一緒に、暖かくなるのをもう少し待つことにしよう。


昔の天体写真

2023-01-18 | 日記
 天文台観察室の15㎝屈折を借用していた時に、隣の18㎝イプシロンで天体写真を撮影している人がいた。カメラから規則的にピーという音が聞こえるので撮影方法を聞いてみると、複数枚をコンポジットするために同じ視野を連続して撮影しているのだが、音を消す方法がうまくいかないと申し訳なさそうに話していた。そのような事はないと伝え、その後に惑星を入れた時に見てもらうと、今度は逆に撮影したばかりの星団の画像をカメラのモニターで見せてくれた。それは思った以上に良く写っており、デジタル写真の手軽さに驚くと同時に、これだったら楽しいだろうなと感じた。
 昔の天体写真は、自分で現像焼付も行わなければならなかったし、揃えるべき機材も多岐に渡っていたので、始めるのは今よりずっとハードルが高かったと思う。それで、初心者は入門書を読んで、自分の撮りたい写真を脳内で想像することより始めることになった。
 昔の本に掲載されていた天体写真で、忘れられないものがある。それは、” 北天の日周運動 ”(撮影者;清水真一 昭和8年)という、北極星周辺の日周運動と天体望遠鏡が一緒に写っているものだ。昔、この組合せの写真は珍しかったので、印象に残っているのだと思う。




 画像の左側は、「月刊天文ガイド 臨時増刊号 天体写真入門」(S41 誠文堂新光社)の ” 天体写真の思い出 ” という題名の記事の冒頭部分であり、この写真の題名と撮影年が記されている。右側の書籍は「天文學叢書5 天體観測入門」(S30 恒星社厚生閣 日本天文學會編)である。各々の写真は、片や屈折望遠鏡の白い鏡筒が判別できるが、もう一方はラティチュードが狭くつぶれてしまっている。しかしその構図から、同じネガから得られたもののようだ。記事によると、望遠鏡は初め2吋だったのを、3吋(昭和6年秋)、4吋(昭和8年3月頃)と大きくしていったとある。一方、撮影は昭和8年とだけあるので、写っている望遠鏡は3吋か4吋かということになるのだが、それを確かめるために、星座ソフトでシミュレーションしてみた。すると、この星の配列は3月頃では薄明が始まってしまい、撮影できないことが判ったので、この望遠鏡は4吋と判断している。また、よく見ると北極星と思われる星が、手摺に食い込んでいるように見えるのが不思議である。望遠鏡の周辺には、星の食い込みは見られないので、風が強いなどの原因で、手摺が揺れていたのかもしれないなどと想像している。
 最近流行のハイダイナミックレンジの写真とは正反対の画像で、Hi-Fiの逆のLo-Fiの部類になるのだろうが、自然で懐かしさを感じさせる。今度、古スコと星空を一緒に写す際には、このような雰囲気の写真を撮りたいと思っている。