昔の望遠鏡で見ています

昔の望遠鏡による天体観望と、その鏡景写真についてご紹介します

ロンキーテスター

2019-10-26 | 天体望遠鏡


 使用しているロンキーテスターです。ロンキースクリーンのピッチは、インチ100本で、縞の曲がりと許容誤差との関係は、以下となります。なお、鏡の直径は100mmです。

    F値     許容誤差
      5       1/24
      8       1/15
     10      1/12
     12      1/10 
     15       1/8

 これらは色収差や球面収差の不規則な乱れの場合の許容誤差であって、非点収差(アス)の場合には、これらの数字以下でも、許容量を超えている場合があるとのことです。

 平面鏡を利用するダブルパス方式ですので、2倍厳しくなっており、実際の星をロンキースクリーンだけで見る場合だと、インチ200本のテスターを使っていることに相当します。





 鏡筒と垂直の位置に鏡をセットして、テストします。性能の良い望遠鏡のロンキー像は、きれいな白黒の縞模様となるようです。また、対象となる光学系にカビや汚れがあると、像に影となって反映されます。
 非点収差は、上記のとおり判りにくいように感じます。焦点内外像が乱れている屈折鏡をテストしたことがありましたが、縞の乱れは大きくはありませんでした。「ツアイス望遠鏡の展示室」というHPで行っているように、オートコリメーション法を使って焦点像を調べると、良く判ると思います。


五藤C型カメラアダプター

2019-10-20 | テレパック


 


 テレパックに取り付けることのできる、カメラアダプターです。説明書では、五藤式6cm以下の望遠鏡用と記載されています。カメラマウント(ニコン)、SUNフィルター、そしてキャップ1個が、付属しています。




 カメラは結構重量があるので、実際に望遠鏡に取り付けた時にバランスが取れるか心配でしたが、上の画像のとおり大丈夫でした。なおドロチューブはこの繰り出しで、遠景にピントが合っていました。




 試しに直焦点にて二、三枚撮影してみましたが、案外お気軽に写せることが判りました。デジタルですから当たり前ですが、こうしてみると銀塩時代って大変だったということが、しみじみ判ります。

見たい望遠鏡と欲しい望遠鏡

2019-10-19 | 天体望遠鏡
 見たい望遠鏡は、最新の高性能アポや高精度ニュートン鏡である。各種の情報より見え方を想像したり、各地での星まつりで実際にのぞかせてもらうのは、とても楽しいことである。しかし自分にとっては、これらが必ずしも欲しい望遠鏡とは限らないのだ。
 私の場合、欲しい望遠鏡とは、昔見たくても見られなかった望遠鏡や、触りたくても触れなかった望遠鏡である。具体的にいうと、五藤のテレパックや各社の8cmF15屈折鏡、或は西村や旭精光の反射などである。昔出来なかったことを、実現したいという欲求が基になっており、追体験、すなわち小説に書かれた場所に行って主人公と同じ景色が見たいなどというものに、近いものだと思う。
 一方、この追体験という言葉にぴったり当てはまる欲求も、少なからずあるように感じる。例えば、野尻抱影がロングトムで星を見ている写真を見ると、口径10cmのF15鏡筒に興味が出てきてしまうのである。10cmのフローライトを持っていても、10cmF15鏡筒が欲しくなってしまうのである。そんな時は、自身の体力や周囲の環境では、とても扱えないぞと自分に言い聞かせることにしている。大げさだが、自分との戦いなのかもしれない。  
 最近は時代を区切り、この趣味に興味を持ち始めた70年代の頃に見聞きした望遠鏡に、対象を絞るようにしている。大体、今ある望遠鏡でも多すぎて、とても見きれない状況なのであるから、当然と言えば当然なのである。


 上記の画像は、題して「望遠鏡の川」。左からアストロ、アストロ、アストロ、タカハシ、タカハシ、五藤、五藤です。

ティーガルにXW

2019-10-13 | 天体望遠鏡


 昨晩の台風は、風雨とも強くて、よく眠れないほどでした。以前にインフラ関係の施設に勤めていた頃には、このような時は昼夜なく呼び出され、徹夜で勤務していました。今はもう頑張らなくて良いのですが、自然と体に力が入るのには、自分でもおかしく感じます。
 台風一過の今晩は、透明度も良く星が良く見えています。月も見事なくらい真ん丸です。そこでティーガル60に、先日の星まつりで入手したばかりのペンタックスXW20を付けて、見てみました。




 バランスが心配でしたが、フリークランプの摩擦調節ネジ(上記⇒印)を指で少しきつく締めると、支障なく使用することが出来ました。ただし、重量級のアイピースですので、ピントは左手でアイピースを支えながら、右手でヘリコイドを回して合わせます。




 星像は、見事なものでした。きれいな点像を見ているだけで、癒されます。また、見口のレンズが大きいのは、なにか豪華な感じがして、嬉しいものですね。

古本の楽しみ

2019-10-06 | 野尻抱影


 背表紙が半分取れ、頁もすっかり焼けてしまった星座巡礼にある、野尻抱影の肉筆です。
 ヒエログリフにも例えられる抱影の文字も、少し読めるようになりました。ここには「星」の字の下に「水野学兄」、「一九二六年十一月」そして「著者」とあります。学兄とは、学問上の先輩の意味で、友人に対する敬称とのことです。それでは、水野とは、誰なのでしょうか。
 野尻抱影の著作で星座めぐりという大型本が、昭和二年十月に刊行されています。その最後に、水野葉舟が”昴に更ける(跋に代えて)”という文章を書いています。なお跋とは、末尾に示す文章のようです。これらから、水野とは友人の水野葉舟のことで、この星座巡礼は、出版に協力してもらったお礼に贈られたものと考えられます。
 ”昴に更ける”では、水野の開墾小屋での生活や、そこから見た昴やオリオンについて記されています。今でいう田舎暮らしより、はるかに質素なものですが、それが水野自身が目指したもののようです。

 一部を紹介します。「闇の空は冴え切って、甘やかす暖かみなどはまるで消え去っていました。昴は頭の上に高く上がってその微笑みがますます生き生きとなっています。その下にしづしづとオリオンが林の上に上がって来ているのでした、剣と帯とが鋭い冴えた光で輝いています。私は大きな息をしながら砂のやうに光っている星空を見る。森厳な賑やかさが心に非常に親しくなって感じられるのです。」

 野尻抱影が贈った当時は、もっと立派な本だったと思いますが、開墾小屋に置かれていたからでしょうか、私の手元の星座巡礼は、すっかり古色蒼然のボロボロとなっています。このように、先の所有者やその時代を想像しながら読むことができるのも、古本の楽しみだと思います。