昔の望遠鏡で見ています

8cm長焦点屈折

 天候がすぐれず、星が見られない日が続く。こんな時には、次の星見に使う望遠鏡のことを考える。見る所は、車で2時間くらいで行ける山の上を計画している。そこは、市内にあるビルの上層階からも望むことができ、現役時代には昼休みによく眺めていたところだ。

 その山は、若い時の楽しい思い出の場所でもある。車を運転できるようになった頃に、よく友人と星見に行っていたのだ。時には、2ドアタイプの乗用車に5人乗車して行き、曲がりくねった山道で、後部座席の後輩から車酔いしそうだと言われたこともあった。
 山頂で、人助けをしたこともある。10月下旬頃にもなると、未舗装路は霜柱のせいだろうか、車が入ると動けなくなるのだ。ある夜、星見を終わって帰ろうとしたときに、若い女性が助けて欲しいと、暗闇の中から私たちの前に現れた。びっくりしたのだが、お役に立てればと皆で助けに向かった。すると神社脇の道の奥で、彼氏と思われる男が運転しているワゴン車が、スタックしているではないか。仕方が無いので懸命に押して、なんとか無事に脱出させることはできたのだが、空転する車輪がはじき出す泥で、みんな真っ黒になってしまったのは、まるでマンガの一場面だった。

 天文台の望遠鏡を借りられるようになってから、二つのことを感じ始めている。一つは、当然ではあるが所有できる口径には限界があるということと、もう一つは、より大口径で見る星と自分が所有している望遠鏡で見る星には、それぞれに価値ある美しさがあるのではないかということだ。確かに大口径を使うと、細かな模様や暗い星々まで見ることはできるが、星の輝きそのものに優劣はないのではないかと思う。

 これらのこともあって、山上での星見には思い入れのある望遠鏡を持って行ったら良いのではとの考え方にたどり着く。また、せっかく暗い空の下での観望なので、表紙がボロボロになるまで見ていた「星雲星団ガイドブック」で示される見え方のイメージも、追体験したくなる。最終的には、同書の観測風景に写っている格好良い8cm鏡筒も忘れられないので、8cm長焦点屈折を持って行くのも良いかなと考えている。




 画像は、EM11赤道儀に載せた8cmF12.5屈折である。もちろんF15のものも、候補である。

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