昔の望遠鏡で見ています

昔の望遠鏡による天体観望と、その鏡景写真についてご紹介します

双眼鏡を持って山岳道路へ

2024-07-07 | 日記
 梅雨の晴れ間は、急にやってくる。望遠鏡を準備する気力は無いが、星は見に行きたい。それは、そんな日だった。
 これまで空の暗いところに行く時には、必ず望遠鏡を持って行った。鏡筒や架台、そして接眼鏡類は時間を掛けて吟味し、その日のために準備してきたものなのだから、それは当然のことだった。
 ところが最近、何か違うものが心に芽生えてきたように感じている。
 それは、先の星見の帰り際に、ぐるりと星空を見渡した時のことだ。星の色や星座の配置を確かめることに、これまでにない新鮮さを感じたのである。
 そうだ、その続きをやろうと思った。視力が今一つなので、双眼鏡類だけ持って出かけようと決める。他に星図に加え、最近話題の「かんむり座T」と、M11の近くで探しやすいと同好会O氏推薦の「たて座R」の変光星星図を、バックに入れて車に乗り込む。






 到着したのは、山岳道路にある駐車場だ。車に積みっぱなしのテーブルと椅子を出して、その上に星図と双眼鏡類を準備する。持参した双眼鏡は、ニコン7×35、同7×50、そして同TC-E2を用いた星座ビノである。星図は、ラミネートされた野外用Sky atlas 2000である。




 到着した時には山頂方向に雲があったが、次第に晴れ上がっていった。
 薄明が訪れる頃、東の方向に夜景が見え出す。まず星座ビノで覗く。小型軽量で低倍率なので手持ちでも揺れが少なく、無数の明かりが綺麗に見えた。シンチレーションの影響で点滅しているのも判り、とても臨場感あふれる見え方であった。次に双眼鏡で見たのだが、手持ちのために安定した保持が出来なかったのが原因だと思うのだが、明かりが糸を引くように見えていた。このような点光源を見るには、三脚に固定することなどが必要なのであろう。
 今回は、「てんびん座β星」が緑色に見えるかどうかも確かめてみた。薄明の中ほどから終了後まで、数度に渡って肉眼で見たり双眼鏡で覗いたりしたのだが、「ほんの少し緑色を感じる。」というのが、その時の感想である。

 「かんむり座」を探すと、ほぼ天頂に独特の形を見つける。その形状から、どうやら「T星」は増光していないようだ。次に、その下方の「たて座」を、星図とスマホに入っているSky safariを使用して探すことにした。正確な形を知らない星座だったので、周辺の星々から位置を割り出し、何回か星図と夜空を行ったり来たりして「R星」を同定した。この時、最初に星座ビノを、だいたい位置が判った段階で双眼鏡を使うのが、効率的だと思った。

 変光星を探した後は、ゆっくり星空を散策した。西空に「しし座」が沈むころ、その少し南側には「からす座」が見える。視線を上げるとスピカとアークトゥールスが輝き、そこから各々の星座の配列を追う。南の空には「さそり座」が横たわり、尻尾にある二つの青い星も見事だ。その東側にM7だろうか、美しい星の集まりが双眼鏡の視界に入ってきた。この日は天の川にある星雲星団も綺麗に見えていたのだが、椅子に座ってじっくり見たのも良かったのであろう。
 望遠鏡なしで、あちらこちらと星を見るのも良いものだと感じた一夜であった。