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昔の望遠鏡で見ています

昔の望遠鏡による天体観望と、その鏡景写真についてご紹介します

電子観望を考える

2022-06-17 | 日記
 星の教室の後、仲間と遅い夕食を取りに行った際に、電子観望のことが話題に上がる。観望会で、電気的に処理された画像を見てもらうだけだったら、予め天文台の大きな望遠鏡で撮影された画像を用意し、それと入れ替えても同じではないかというものだ。

 月は、小望遠鏡でも歓声が上がるほど良く見える。対象が惑星の場合も、接眼鏡を覗けば、臨場感を感じてもらえる。高性能のアポや精度の高い反射鏡を用意した時は、我々も覗かせてもらって感心したりするので、さらに盛り上がる。ところが、星雲星団だと、一転して見てもらうのに苦労する。特に星雲は、初めての人には難しいことが多いようだ。そらし眼で見ることを説明しても、子供達には理解してもらえない。その点、電子観望では、ディスプレイ上に画像を浮かび上がらせるので、みんなによく見てもらうことができる。先の話は、その過程で、処理途中の像を予め用意していた画像と入れ替えても、同じ結果が得られるのではないかというものだ。

 突発的な彗星や移動中の小天体などが対象の場合は、予め画像を用意することができないので、電子観望しか対応できないだろう。一方、遠方の宇宙を対象にした場合は、その時間軸がとても長く変化も認められないので、導かれる最終形は同じになってしまう。

 ここまで考えてきた時に、木星面にシューメーカー・レビー彗星が衝突した晩の観望会のことを思い出す。衝突痕は見えないだろうという大方の予想に反して、黒い斑点が木星の自転によって次々とその端から出現してきたのだった。我々は皆、驚愕して接眼鏡を覗いたことを憶えている。この時に、予め天文台で撮影された写真を代わりに見てもらうなどしていたら、貴重な現象に立ち会うことはできなかったであろう。
 対象が小宇宙の場合を考えても、稀に見る現象、例えば超新星の出現に遭遇することだってあるはずだ。
 このように考えてくると、観望会では生の光を使って、基本どおり画像処理することが求められていることになる。




 星の村天文台星まつりで、協栄産業前に展示されていた電子観望用の望遠鏡である。赤い色が、なかなかかっこいい。