大倉草紙

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【東京】 特別展 菱田春草〈前期〉 (明治神宮文化館 宝物展示室)

2009年10月30日 21時00分00秒 | 美術館・博物館・記念館・資料館
10月28日(水)
当日の行程:(千代田線・明治神宮前駅) → 【特別展 菱田春草〈前期〉(明治神宮文化館 宝物展示室)】【明治神宮】


前期の展示は10月29日まで。
だから、明治神宮前駅を通ったとき、今日行くしかない、と地下鉄を降りた。
書簡や兄の菱田為吉の多面体などを含めた33点の展示。
決して作品数は多くないのだが、その分ゆっくり観ることができたのはよかった。


『落葉』(部分)個人蔵(明治42年)
他の『落葉』とは違い、大地が描かれているという説明があった。
福井県立美術館所蔵の『落葉』がパネルで紹介されている。
あぁこれは、ちょうど1年ほど前、松伯美術館で開かれた『革新者たちの挑戦~よき人よき友 松篁の見つめた人々~』で目にしたな、と思い出す。
パネルをたよりにそのときの記憶と呼び戻し、目の前の『落葉』と比較しながら観る。

春草のエピソードが紹介されている。
猫を描くのに、近くの焼き芋屋の猫を借りてきていたが、すぐに逃げ出すので何度も借りに行かねばならなかったという息子の話はおもしろい。
『黒き猫』をはじめ、春草は、何点もの猫の絵を残している。
会場にも、『竹に猫』水野美術館(明治33年)と『白き猫』春草会(明治34年)の2点が展示されている。
そんなわけで、春草のことを猫好きだと勝手に思っていたのだが、実際はそうではなく、あまり好きではなかったようだ。
『竹に猫』の凛とした猫の佇まいが印象的だ。
『竹に猫』という作品名ではあるが、猫が見詰めているのは竹林ではなく、大輪の百合の花。
まるで勝負をしているかの如く、向かい合っている。

息子の話は、代々木での生活についても触れている。
『落葉』が生まれたのが、この代々木の地であるとは知らなかった。
木々も多く、散策するのにちょうどよい場所であったのだろう。
そもそも、「代々木」という地名は、代々大きな樅の木が育つ地であったことから付けられたのだそうだ。

昭和20年の戦禍で焼失した後、植え継いだ現在の「代々木」


『躑躅図』遠山記念館(明治38年)
淡い緑の山に、朱色の躑躅が映える美しい作品。

そのほか、『伏姫』長野県信濃美術館(明治33年)や『寡婦と孤児』東京藝術大学(明治28年)などが印象に残っている。
後期は『雀に鴉』も展示されるそうだから、また足を運んでしまうだろう。

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