回覧板

ひとり考え続けていることを公開しています。また、文学的な作品もあります。

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5391-5395

2023年10月28日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5391
物語の語り手〈私〉ミミには美鈴の語る言葉は
きれいな文字になって
こぼれ落ちるのが見える



5392
『吹上奇譚』第四話ではミミの母にも
美鈴の語る言葉は
文字となって見える



5393
初めは作者の荒唐無稽な話と思ったが
『カエルの声はなぜ青いのか?―共感覚が教えてくれること』
に人の語る言葉が文字に見える話があった



5394
それは一風変わった街に住む人物たち
がそんな普通の世界から一段下った
こわれやすい柔らかな世界を生きて呼吸する喩なのだろう



5395
そうしてそういう世界を記述し見渡す
作者もまた
そんなことばの人の姿で立っている
 
註.吉本ばなな『吹上奇譚』第四話まで読み終えて。