金子みすゞの詩集の中の、私の好きな詩の2つ目はー、
大漁
朝焼け小焼だ、 大漁だ
大羽鰮(おおばいわし)の 大漁だ。
浜は祭りの ようだけど、
海のなかでは 何万の、
鰮のとむらい するだろう。
朝焼け小焼だ、 大漁だ
大羽鰮(おおばいわし)の 大漁だ。
浜は祭りの ようだけど、
海のなかでは 何万の、
鰮のとむらい するだろう。
金子みすゞは、漁師の村(山口県仙崎村=現在の長門仙崎;昔捕鯨としても盛んな村)に住んでいました。その生活体験から書いたものです。地域の人たちが、大羽鰯の大漁!で喜び浮き立つ様子を見て、別な視点=サカナの立場で詠んだ詩です。私は、この詩にはじめて出合ったとき、ハタ!と気付かされるなものを感じました。
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よく、相手の立場に立ってとか、命あるものを大切にとかいってもヒトは、いかに一側面からしか物事を見ていないものか、との指摘や警鐘と捉えることができると思いました。この頃の言葉で”勝ち組負け組”といった言葉を思い浮かべ重ねることこともできます。自由主義、競争社会、資本主義といった社会で生きることは当然あることですが、この詩を通して自分への戒めとして、「人の痛みのわかる人間に!」とか、「何ごとにも、謙虚たれ!」と心させてくれます。