外相は、「ウクライナの政権移行はまだ完全ではない」と指摘。ロシア政府は一貫して、キエフの政権は武器を用いた脅迫によって成立したものであり、正当性など認めるべくもない、と主張している。
ロシアの反応は早かった。武器を持った人々がキエフで政権を奪取し、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチが憲法を無視した強引な手法で大統領職を追われ、最高 議会でポピュリスティックな法律の数々が採択された、こうした一連の出来事を指して、ロシアは早くから、「国家転覆の試みである」との非難を展開してい る。ところが驚くべきことに、民主主義の看板である欧州諸国や米国は、こちらも驚くべき反応の速さを示して、すぐさまウクライナの新政権を認め、財政支援 の問題を含めた交渉を、早速彼らと開始した。欧州諸国は「外交的手段による解決を」などと、聞こえのいい事を言ってはいるけれども、ロシア側の主張の根拠 に耳を貸そうとせず、ロシアの「隣国に対する侵略的な政策」を非難している。
一方では中国も、ウクライナ問題の政治的解決を呼びかけている。いわく、両陣営は抑制的であらねばならない、と。中国政府は、ウクライナ問題の政治解決に おいて、建設的な役割を担う意向である、と言うが、そんな重大な課題を単独でやり遂げることが出来るかといえば、はなはだ怪しいと言わねばならない。
中国がこうして仲介役を買って出る一方、米国は、ロシアからのガス供給に直接的に依存する欧州諸国をなだめにかかっている。実に、ロシア産ガスはウクライ ナを経由して欧州諸国にとどけられている。欧州諸国はウクライナ情勢や、ガスプロムとキエフの協定上の問題が、自分たちのエネルギー調達に悪影響を及ぼす ことを、深刻に憂慮している。過剰な不安感のもとに、既にEUは、保険のため、ガス購入量を15%も増大させている。そこでホワイトハウスのジョシュ・ アーネスト報道官は、海の向こうから、欧州諸国が天然ガス不足にあえぐ心配はない、と述べて慰藉にかかった。もしものことがあったら、米国が液化天然ガス を供給しましょう、と。しかし、それが可能になるのは、早くても2015年末のことである。
投資グループ「ノルド・カピタル」アナリスト、ウラジーミル・ロジャンコフスキイ氏はVORのインタビューに答え、ホワイトハウスは言葉でなく行動によって欧州諸国を支援するべきであった、と語っている。
「む ろん米国は、欧州諸国がガス調達に困るか困らないか、知り抜いている。困るか困らないかについては、コメントの必要さえない。いまコメントすべきことは、 米国がもうウクライナ問題において一定の役割を担っているのであるからには、ウクライナのエネルギー需給問題をめぐる何らかの緊急会合を開くことが不可欠 である、といった趣旨の事柄である。ここにおいて特に重要なのは、フランクフルトやローマ、パリなど、ロシア産ガスのお得意先の声に耳を傾けることであ る。彼らの言葉の方が、より貴重であったろう。この情勢下、苦しんでいるのは彼らなのだから」
こうした中、ガスプロムは、7日、ウクライナが事実上、ロシア産ガスへの支払いを停止したことを発表した。ウクライナの政府債務は20億ドルに迫ろうとし ている。このような状況では、ガスプロムとしても、燃料を無料で提供し続けることなど出来ない。このようにガスプロムは発表した。これはすなわち、ガスの 元栓はいつ閉められてもおかしくない、ということである。その時、ロシア産ガスの需要者である欧州諸国は直接的な打撃を被るだろう。
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