【ドネツク(ウクライナ東部)=石川保典、モスクワ=原誠司】独立の是非を問う「住民投票」を十一日に行ったウクライナ東部ドネツク、ルガンスク 両州の親ロシア派が十二日、州の「独立」を宣言した。親ロ派の「ドネツク人民共和国」幹部は、独自の政府と軍を創設すると発表。ロシアに同国への編入も要 請したと明らかにした。
両州の親ロ派は十二日、「住民投票で民意が示された」として、暫定政権が二十五日に実施する大統領選への不参加も表明した。
ドネツク人民共和国幹部プシリン氏は十二日、親ロ派住民に「住民投票でドネツクが主権国であることを確実にした」と述べた。ルガンスク市では十二日、開票結果が公表された後、市中心部で開かれた集会で「人民共和国の独立を宣言する」との宣言文が読み上げられた。
ドネツクの「選挙管理委員会」は十二日、ドネツク州の賛成票を当初の89・07%から89・7%(投票率75%)に訂正。ルガンスク州の「選管」は96%(同81%)が賛成したと発表した。
有権者数は両州合わせて約四百九十万人(ロシア紙RBK調べ)だが、親ロ派の発表した投票率の根拠は不明。本人以外の投票や一人による複数回投票などの不正が指摘されている。
ウクライナ暫定政権のトゥルチノフ大統領代行は十二日、現地警察署などの集計により、投票率をドネツク州で32%、ルガンスク州では24%だった と指摘。投票を「プロパガンダ的な茶番劇。いかなる法的根拠も持たない」と断じた。暫定政権を支持する欧米諸国や日本も、投票結果を認めないと相次いで表 明した。
一方、ロシア大統領府は十二日、投票結果を「民意として尊重する」との声明を出した。声明は「(投票)結果は、暴力の再現ではなく、キエフ(の暫定政権)とドネツク、ルガンスク(両州の親ロ派)との対話によって文明的に実現されるだろう」としている。
また、ドネツク州保健当局は十二日、三月中旬からの二カ月間で、親ロ派武装集団やウクライナ軍、治安部隊の計四十九人が死亡したと発表した。
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