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エボラ出血熱 国内検査に懸念

2014-10-19 10:22:08 | 医療と介護

危険ウイルス扱えず、感染判断は困難


毎日新聞社 2014年10月16日(木) 配信

 エボラ出血熱への対策が国際的な課題となっているにもかかわらず、日本では感染が疑われる患者が見つかってもウイルスを調べる体制が整っておらず、確実な診断ができないことに懸念が広がっている。危険性が高いウイルスを扱う能力を備えた施設はあるが、制度上、取り扱いが許されていないためだ。厚生労働省の担当者は「現状では感染の疑いの有無までしか調べられない」という。
 国は、ウイルスの危険度を4段階に分類し、危険度の段階に応じて扱える施設を定めている。エボラウイルスは最も危険度が高く、最高レベルの設備を有した施設でなくては扱うことができないことになっている。この制度は、世界保健機関(WHO)がウイルスの危険度「バイオセーフティーレベル」(BSL)から定めた4段階の施設基準に準じている。
 厚労省によると、日本では約30年前、最高レベル(BSL4相当)の設備が国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)と理化学研究所バイオリソースセンター(茨城県つくば市)に整えられたが、地元住民の同意が得られないなどの理由から、現在も最高レベルでの運用は許可されていない。
 このため、仮にエボラ出血熱の可能性がある患者が見つかった場合、感染研村山庁舎で患者の血液や尿、のどから採取した粘膜などを検査するが、ウイルスを取り出したり、培養したりすることは許可されておらず、確実に感染しているとの判断はできない。
 日本学術会議のメンバーとして今年3月、BSL4施設の必要性を提言した江崎孝行・岐阜大教授(病原微生物学)は「今は特効薬がなく、効果があるのか分からない薬を患者に投与している。ウイルスを培養できればいきなり人体に投与しなくても薬の効果を研究できる」と施設の重要性を指摘する。
 感染研ウイルス第1部の西條政幸部長も、ウイルスの感染能力の有無やウイルスがどこから来たのかを調べるには、ウイルスの培養が必要という。ただ、西條部長は「万一、エボラ出血熱が国内に入ってきても準備態勢は整えてあり、制限はあるが対応はできる」と話す。【藤野基文】


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