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骨太の方針改革「全部やる」、甘利大臣

2015-07-02 15:02:52 | 医療と介護
閣議決定、地域別診療報酬も課題に


m3.com 2015年7月1日(水) 配信 池田宏之(m3.com編集部)
 政府は6月30日、経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議、臨時閣議を開き、後発医薬品の利用を「2017年央までに70%以上」とする内容や、医療を含む社会保障を「成長の新たなエンジン」とすることなどを盛り込んだ「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太の方針)を閣議決定した(資料は、内閣府のホームページ)。
 医療分野では、前回の素案から個別分野の施策で消えたのは、「保険制度における後発医薬品の使用の原則化」のみで、大きな変化はなかった(『医療、適正化も「成長の新エンジン」期待、骨太の方針』を参照)。薬価の毎年改定や地域別診療報酬の検討を求めるアイデアも盛り込まれる中、終了後の会見で内閣府特命担当大臣(経済財政政策)の甘利明氏は、「挙げているものは全部やっていく。トライしないことはない」と述べ、2020年度のプライマリーバランス黒字化に向けて決意を示した。同日、成長戦略「日本再興戦略 改訂2015」も閣議決定した(資料は、首相官邸のホームページ)。
社会保障産業化「極めて斬新」
 医療分野のうち素案から削られた主な項目は、「保険制度における後発医薬品の使用の原則化」のみで、地域別診療報酬、調剤技術料・薬学管理料の妥当性の検証、セルフメディケーションの推進など主な項目は残った。合同会議の席上で、諮問会議の民間議員は、「諮問会議で議論した歳出改革のメニューがほとんど盛り込まれていること。これは初めてのことではないか」と感想を述べ、実行を求めた。安部晋三首相も、現時点で経済状況が好調との認識を示した上で、「この契機を逃すことなく、経済財政一体改革を不退転の決意で断行していく」とした。
 終了後の会見では、甘利大臣は、医療を含む社会保障分野の産業化を強調。政府は公的分野への支出を減らした部分に、民間企業を参入させて成長分野として、税収増にもつなげたい考え。この点について、甘利大臣は「本来、産業としてなじまないところを産業化して、新たなエンジンとして加えることが、極めて斬新な取り組み」と述べ、先進事例の横展開をする仕組みも整備しながら、財政再建と経済成長を両立させる意欲を示した。
 甘利大臣は、社会保障改革の考え方にも言及。自民党の中には、社会保障関連の改革について「実施の可能性も含めて検討する」といった書き方とする案があり、実施しなくても問題とならないように読めるため、一部マスコミでは「骨抜き」とする報道が流れた。
結果的には、社会保障改革について「予断を持たずに検討する」との書き方で落ち着いた。甘利氏は記述の意図について、「(実施に向けた)決意が伝わるような書き方に変えた」と指摘。「社会保障」において検討項目が多いことを聞かれると、「(骨太の方針に)挙げているものを全部やっていく。トライをしないまま、最初からやらないことはない」と決意を示した。ただ、「効果がないとかマイナスになることが明らかになってくるものもあると思う」と発言。今回の骨太の方針に乗った項目は、何らかの形で着手され、結果を出すことが求められる流れとなった。

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