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女子選手の健康どう守る 

2015-03-26 06:58:17 | 医療と介護
 東京五輪控え医療界関心

静岡新聞2015年3月25日(水) 配信

 2020年東京五輪の開催が決まりスポーツ全般に熱い視線が注がれる中、トレーニングのし過ぎや体重制限による無月経など、女子選手が陥りやすい健康問題への関心が高まっている。トップアスリートだけでなく、部活動に励む中高生には成長期の体に影響が及ぶ可能性もある。静岡県産婦人科医会が7月に講習会を予定するなど、静岡県内でも診療態勢の構築に向けた動きが始まっている。
 国立スポーツ科学センターの調査(11~12年)によると、女子選手の健康問題は陸上長距離や新体操などの競技に目立つ。成長期の激しい練習や極端な体重管理が骨密度の低下を招き、疲労骨折や不妊のリスクが高まるとされている。
 焼津市の前田産科婦人科医院理事長で、日本産婦人科医会常務理事の前田津紀夫さんは女子選手特有の健康問題について「競技の特性上、『痩せること』が求められ、心身共にストレスがかかる」との見方を示す。中高生の場合は「スポーツの影響を知らない子が多い」とし、無月経の症状で親と一緒に受診し、初めて部活動が原因と分かるケースが少なくないと説明する。
 指導者に男性が多いことも、問題が表面化しにくい原因の一つとされる。常葉菊川高陸上競技部の監督を務める八木本雅之教諭は、毎日選手に体重と体脂肪を測らせた上で、痩せすぎていないかを見た目からも確認する。「月経の有無や程度を把握することも体調管理の指標になる」として、それに応じて練習メニューを変更することもあるという。
 無月経や月経周期の異常がある場合、ピルを使ったホルモン治療が有効とされるが、吐き気や血栓症などの副作用が出ることもある。加えて、県内には女子選手の診療を専門にした医師がいないため、現状では本格的な診療を受けるには県外に出向く必要がある。前田さんは「スポーツに励む女子中高生に治療法を提示できる医師を増やし、サポート可能な態勢をつくっていきたい」と話している。
■女子部員「先生には言わない」
 月経が無かったり、周期が乱れたりした場合、婦人科にかかることが望ましい。だが、実際に行動を起こす生徒は多くない。
 県中部で陸上部に所属する高校2年生(17)は昨年夏ごろから月経が来ないと打ち明ける。「生理がないことは(顧問の)先生には言わない。言う必要がないと思うから」。周囲の女子部員も「あえて言うほどのことじゃない」と口をそろえる。1年生部員(16)は「試合と重なると調子が悪くなるけど、みんなそうだと思う。言っても仕方ない」と割り切った様子を見せる。
 これに対し、顧問の男性教諭(42)は「月経について直接的な話はしない。『おなかが痛い』と聞くと、もしかしたらそうかなと察する」と話す。ただ、「知識不足が原因で、相談まで至らないのかもしれない」として、女性の健康問題に関する指導を進めていくという。



















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