医科歯科通信  (医療から政治・生活・文化まで発信)



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生命をめぐる欲望、現世利益的な欲望

2015-01-31 09:06:20 | 編集スクランブル
★多様な価値観が出会い、急速に変化を続ける現代社会にあって、異なる思想・文化から謙虚に学び、相互理解を深めていく。
★人間はもともと自ら自由に判断して行動すべきところ、そうした自由を放棄し、他者にゆだねてしまうことがある。
その典型がナチ体制下のドイツ国民にほかならない。
彼らは政治のみならず思想や信条の自由までヒトラーやナチにゆだねてしまい、結局取り返しのつかない事態にまで立ち至ってしまう。
★自由という基本的な価値を放棄して他者にゆだねてしまうことがいかに危険であるのか、それが精神分析医・エーリヒ・フロムの主張である。後年フロムは「対象を自由に把握し判断するという禅の境地に人間精神の理想像を見出したという。精神医学史家・小俣和一郎さん
★昨年のSTAP細胞研究の騒動を見ていて感じたことは、iPS細胞研究にも共通する面がありますが、社会に対し、再生医療に役立つといった点が強調されすぎてはいないかという「ことです。
しかし、それは生命の本筋ではないと思います。
背景には、生命をめぐる欲望、現世利益的な欲望が働いていたと考えられます。
命をめぐる欲望を制御する規範、生命倫理の筋論をおさえる必要があります。
フランスの生命倫理法が哲学的議論に裏付けられた法律になっている点です。
臓器、組織、精子、卵子、遺伝子をモノとして扱ってよいのか、丁寧に論議されたうえで、その全てに人の尊厳が及ぶという原理を打ち出し、臓器や受精卵などを扱う先端医療の問題に対処しています。
一方、日本では哲学的な議論はなく、個々の先端医療の是非にそのつど対処した。
その結果、人の体や命の元の位置づけが現在も定まっていないのです。
東京財団研究員・島 次郎 (ぬでしま・じろう)さん

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