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日歯連「迂回献金」事件 後援会の実態は?

2015-05-11 17:40:36 | 歯科
主導したのは誰?
産経新聞 5月11日(月)7時55分 配信
■解明の鍵握る役員
 東京地検特捜部が政治資金規正法違反容疑で強制捜査に着手した政治団体「日本歯科医師連盟」(日歯連)の「迂回(うかい)献金」事件では、寄付の上限額を回避する迂回献金を日歯連の会計担当役員が主導していた疑いが浮上している。さらに、迂回先となった政治団体は組織実体に乏しく、日歯連と実質的に一体だった可能性も強まっている。そもそも政治団体間の寄付に上限が設けられた発端は、約10年前に特捜部が手掛けた「日歯連闇献金事件」だ。因縁含みの捜査の行方は-。

 ◆「合法的」と弁明

 今回の事件発覚のきっかけは今年1月に開かれた日歯連の臨時評議員会。平成25年、日歯連が擁立した西村正美参院議員(51)=民主=の後援会に日歯連から5千万円が寄付され、寄付と同日に同後援会は、日歯連擁立の石井みどり参院議員(65)=自民=の後援会に5千万円を寄付。日歯連はこれとは別に石井後援会に4500万円を寄付していた。この寄付について、一部の評議員が「政治団体間の寄付の年間上限5千万円を回避する迂回献金ではないか」と指摘した。

 指摘に対し日歯連は「両後援会は議員とは無関係の独立団体。合法的な資金移動であり、迂回献金には当たらない」と弁明した。

 しかし特捜部は、この寄付が、規正法で定められた寄付の年間上限規制を回避するための迂回献金だった疑いがあるとみて、4月30日に日歯連などを家宅捜索、強制捜査に乗り出した。

 ◆ポイントは2点

 捜査の主なポイントは(1)両後援会は日歯連から独立した組織なのか(2)迂回献金を誰が主導したのか-の2点だ。「独立」とは、後援会が独自に寄付先などを決定できることを意味する。


 後援会が日歯連から独立しておらず、日歯連と実質的に一体と認定されれば、1つの政治団体に認められる上限額を超えた寄付をした量的規制違反や、実体のない後援会を実体があるかのように装った虚偽記載などに当たる恐れがある。その場合、誰が違法寄付を主導したのかが問題となる。

 日歯連は両後援会について「独立した組織」と主張する。しかし両後援会の代表者は日歯連の高木幹正会長で、所在地も日歯連と同じだ。両後援会の会計責任者も日歯連の会計担当役員らが務めていた。また日歯連は内部文書で「寄付上限があるため、西村後援会を経由して石井後援会に資金移動した」と認めている。

 さらに、複数の関係者は「後援会は日歯連擁立候補を支援するためのもの。会計などは日歯連幹部が決めていた」と証言。日歯連と後援会が実質的に一体であることを否定する事実は見つかっていない。

 一方、日歯連で10年近く会計を担当し、後援会の会計責任者も務めていた男性役員が寄付の決定を主導していたことが判明。特捜部はこの役員が事件解明の鍵を握るとみて、自宅を捜索し、任意で事情を聴いている。

 ◆闇献金事件で法改正

 日歯連をめぐっては、13年に行われた資金提供をめぐる「日歯連闇献金事件」が16年に発覚し、汚職事件などに発展した。闇献金事件では、日歯連から自民党旧橋本派に渡った献金が裏金化し、派閥幹部らが政治資金規正法違反罪などで有罪になった。この事件を受けて同法が改正され、政治団体間の寄付は年間5千万円を上限とする規定が設けられた。

 ある検察幹部は「日歯連が規制回避のために違法行為をしていたとすれば、『まだ懲りていないのか』と言われても仕方ない。まずは寄付の経緯など実態解明が第一だ」と話す。

 日歯連関係者は「汚職性があった前回の事件とは違い、今回は自分のカネを右から左の財布へと移したようなもので悪質性は低いと思う。ただ、特捜部は膨大な資料を押収した。そこから迂回献金以外の何かが出てくるかもしれない。前回の事件以降はクリーンになったと信じているが…」と複雑な表情を浮かべた。

【既報】
日歯連迂回献金疑惑 会計役員が実質主導か 
会長にも報告・承認 東京地検、実態解明へ
産経新聞 5月2日(土) 配信

 政治団体「日本歯科医師連盟」(日歯連、東京都千代田区)をめぐる迂回(うかい)献金疑惑で、日歯連が擁立した国会議員の後援会への寄付や後援会の予算などの決定を会計担当の男性役員が実質的に主導していたとみられることが1日、複数の関係者への取材で分かった。東京地検特捜部は4月30日から1日未明まで日歯連や男性役員の自宅などを捜索。今後、男性役員らから任意聴取を進め、寄付の実態や経緯を解明する見通し。
 事件の焦点は(1)後援会が日歯連と実質的に一体だったのか(2)寄付が誰の意思の下でなされたのか-の2点。日歯連と後援会が実質的に一体であると認定された場合、政治団体間の寄付の年間上限額(5千万円)を免れるため政治資金収支報告書に別団体として虚偽の記載をした政治資金規正法違反に当たる恐れがある。その場合は誰が寄付を決定したかが問題となる。
 複数の関係者によると、男性役員は10年近く日歯連の会計に携わり、後援会の会計責任者も務めるなど実務に精通。実質的に男性役員が後援会への寄付や予算配分など決定し、高木幹正会長や理事長らへ報告、承認を得ていた。男性役員からの報告は予算総額など大まかな枠組みのみで、予算の使途や寄付の方法などの詳細な説明はなかったという。男性役員は他の役員が退任しても実務能力を買われ、役員を慰留されていた。
 ある関係者は「政治資金業務は男性役員に任せっきりだった。公表される収支報告書に資金の流れを書いており、男性役員に違法性の認識がどこまであったのか疑問だ。ただ不自然な献金であるのは事実で、承認した会長らにも責任はあるのではないか」と話した。
 この事件では、平成25年に日歯連から西村正美参院議員(51)の「西村まさみ中央後援会」を経由するなどして、石井みどり参院議員(65)の「石井みどり中央後援会」(代表はともに高木会長)に計9500万円が渡った疑いが浮上。22年にも西村氏の後援会に、西村氏が代表を務める政党支部を経由するなどして、日歯連から計1億円の寄付が渡った疑いが指摘されている。









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