(10:40 ~ 10:52 省内会見室)
厚生労働省広報室
会見の詳細
《閣議等について》
(大臣)
おはようございます。私の方からはありません。
《質疑》
(記者)
障害年金についてなんですけれども、一昨日、厚生労働省が発表したもので、障害年金を申請したもので、不支給と判定された人の割合が都道府県別によると最大で6倍の開きがあったことがわかっています。主に、精神とか知的障害の方に対する支給の目安のですね、都道府県によって運用の違いがあったということのようですけれども、その是正に向けての、今後の対応を含めた大臣の御認識をお願いします。
(大臣)
今、障害年金の認定の地域差について御指摘がございました。調査を行って厚労省として発表したものでございますけれども、今回の調査は新規に申請があった障害基礎年金について不支給となった割合に地域差があるということから、日本年金機構の各都道府県における障害基礎年金の認定事務の実態を把握するために行ったものでございます。その結果、障害基礎年金の不支給割合が低い県と高い県では、今、お話があったとおり、精神障害・知的障害に係る年金を支給する目安となる日常生活能力の程度というのをどう評価するかということで、やや緩やかな県と厳しめの県というばらつきがあったということで、その評価に違いがあったということが確認されたわけでございます。この調査の結果を踏まえて、精神障害、そして知的障害の認定についての地域差による不公平が生じないように、専門家による会合を今後開いて、障害等級の判定のガイドラインとなる客観的な指標などについて検討を行っていきたいというふうに思っています。いずれにしても、全国でできる限り物差しが同じように適用されるということで、障害基礎年金をもらうべき方々がしっかりともらっていただけるようにするということで作業させたいというふうに思います。
(記者)
労働時間法制の見直しについて、本日午後に労働政策審議会が開かれますけれども、厚生労働省とし「働いた時間ではなくて、成果に見合った賃金を決める」という新たな労働時間制度の叩き台を出されるということで、昨日も大臣が安倍総理のところに御説明にうかがっているようですけれども、焦点だった年収要件を1,075万円以上という案で検討されているようですが、この件に関して、やはりまだ歯止めのない労働時間を生むですとか、過労死に対する不安、懸念というのがまだ根強くて、一連の労政審(労働政策審議会)の議論でも、労使の意見の隔たりというのはまだまだあるようにも感じているのですが、健康確保措置を盛り込むということですけれども、これに関して改めて新制度を導入する意義と、いかに健康確保の実効性を担保するか、大臣の御認識を改めてお願いします。
(大臣)
これにつきましては、すでに日本再興戦略改訂版の中で、1,000万円以上の年収であるとか、専門的な高度な能力が必要であるとか、様々な条件をすでに付しているということ、それから、もう一つは総理から本人の意思であるとか、専門性については繰り返し申し上げていますし、それらのいくつかの条件を付していますので、冷静にこれを見ていただければ、歯止めがないなどということはないと私は思っています。それで、健康確保、これは確かに極めて重要なことでありまして、新たな労働時間制度について、労働時間と賃金のリンクを切り離して、時間ではなくて成果で評価するという制度として作るということが基本でありますので、対象となる働く人には当然十分な健康確保措置を講じるということが必要であります。このため、使用者側に「インターバル規制」とか、つまり24時間について継続した一定の時間以上休息時間を与えなくてはならないというような規制ですね、それから「絶対上限規制」、これは例えば1か月について一定の時間を超えないとする労働時間の規制であるとか、あるいは「絶対休日規制」、これは年間の休日数の規制、こういったもののいずれかの措置を講じることを求めていきたいというふうに思っていますし、同時に長時間労働になった場合には、医師による面接指導を義務づけるといったような仕組みを設ける方向性で検討を始めていただくところでございます。以上のような内容を含む労働時間法制の見直しについて、骨子案の本日の審議会に提示を予定しておりまして、法案提出に向けて議論を詰めていきたいというふうに思います。
(記者)
新しい労働時間制度について関連なんですけれども、この制度の導入が働く人にとってどのようなメリットがあると大臣はお考えでしょうか。改めて教えてください。
(大臣)
特にグローバルな活動をする人たちも増えてきている中にあって、例えば、世界を相手にしていますと時差というのがありますね。そうなると、向こうが昼間だけどこちらは夜中だという時にも働かないとぜんぜんこれは仕事にならないという方々も、今、役所でもそうだろうと思いますけれども、ものすごい増えていると思います。それとやっぱり専門領域の方々はやはりクリエイティブな、イノベーティブな仕事をして、いわゆる労働時間の今までの旧来型の働き方というよりは、集中して一定期間考えてアイデアを生み出すとか、いろんな方々が増えてきています。そういう意味で、時間を長くかければいいということではなく、また、短い時間でこう切っていく規制だけではこなしきれないというような仕事もずいぶん増えてきているので、そういう人たちには特に所得が高い、年収の高い方々の場合には交渉力も、能力があるから高い報酬を払うんでしょうから、そういう人たちについては新しい仕組みを作る。ただし、先ほど御質問が最初にあった健康であるとか、身体も心も健全でなければいけませんから、その労働者の健康保持をするということをセットにしながら、どのような新しい働き方があり得るかということを時代のニーズに合った、あるいは働き方をいろいろ自由に考えたいという人たちも中にはいるわけでありますので、そういう人たちのニーズにも応えていくと、こういうことではないかというふうに思います。
(記者)
関連してなんですけれども、新しい労働時間法制の、先ほど大臣はいろいろ対象者の条件を言われていますけれども、組合側の方からですね、特にこの年収要件等が法律に書き込まれない場合、政令、省令等だと同意した後に低くなって、対象がどんどん今後拡大されるんじゃないかという懸念が示されていますけれども、その点についてどういうふうに対応されていくかお考えをお願いします。
(大臣)
そういう懸念がおありだということはよくわかっています。どういう工夫が法文上もあり得るのか、その表現ぶり等についてしっかりと御議論いただいて、そういう懸念をお持ちをいただかないようにしていきたいなというふうに考えています。
(記者)
昨日、被爆者団体との定期協議がございましたけれども、その中でですね、大臣も意見交換を通じて被爆者援護行政の思いを新たにしたと思われるんですけれども、この定期協議は5年半で4回しか開かれていなくて、同じ大臣で2度開いたことがないという状況もあるんですけれども、次回は国会の様子を見ながらというふうにおっしゃられましたけれども、被爆者の高齢化などもある中で、どれぐらいのスパンで開催するのが適切だというふうにお考えでしょうか。
(大臣)
元々、この定期協議は麻生総理の時に合意を見たものでありまして、その時の精神というものは大事にしていかなければならないというふうに思っていますし、昨日も申し上げたように、高齢化が進んでいる、このことは厳然たる事実、重たい事実でございますので、このことも十分含んで次の協議を考えていかなければならないというふうに思っています。
(記者)
関連してですけれども、新しい基準が昨年12月にできてですね、その物差しとして機能するかを見たいというふうに大臣は繰り返しおっしゃられてましたけれども、被爆者の受け止めとしては高齢化していますから、もう見直す気はないんじゃないかというふうな受け止めもあったみたいなんですが、将来的に見直しということも可能性としてはあり得るのかどうかということについては。
(大臣)
これは新しい基準を当てはめ始めて、かなりそれなりの成果は出ているわけでありますが、今後どうなるかということもしっかりと見なければいけませんし、それから昨日お話があったように、成果が出ているけれども、逆に、申請が受け入れられなかったというケースもあるという御指摘もありましたから、そういうようなことも含めて、あわせ考えていきたいなというふうに思っております。
(了)
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