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エボラの未承認治療容認、世界医師会決議

2014-10-19 10:27:32 | 医療と介護

m3.com 10月16日(木)  配信 池田宏之(m3.com編集部)

 世界医師会の総会が10月8日から11日にかけて、南アフリカ共和国のダーバンにおいて開かれ、アフリカだけでなく欧米に感染が広がっているエボラウイルス出血熱について、「資源の不足や、医療時従事者らの感染対策訓練の不足で、大流行を制御することは困難」とする緊急決議を採択した。未承認の治療については、医師にヘルシンキ宣言の「救命などの望みがあれば、証明されていない治療を実施できる」との項目に準拠するように求めている。日本語版の資料が、日本医師会のホームページで公開されている。
 緊急決議では、エボラウイルス出血熱について、死亡率が約55%であることや、潜伏期間は、2日から21日で、潜伏期間中は感染力がないことなどに言及。「医療従事者や個人用保護具をはじめとする資源の不足、感染対策訓練不足により、大流行を制御することが困難になっている」と指摘。国際社会に対して、手袋、マスクなどの資源や、感染対策の手段についての訓練などを求めている。
 治療については、ヘルシンキ宣言における「臨床における未実証の治療」について、第37項に準拠するように決議。同項では、有効な治療がない場合、患者らからのインフォームドコンセントや専門家の助言を前提として、「医師の判断において、救命などの望みがあれば、証明されていない治療を実施することができる」となっていて、一定の条件下で、未承認治療を容認する形となった。総会に出席した石井正三常任理事は、15日の会見で、決議を受けて「政府や国際機関による医療者への支援も大切」と指摘して、国際的な取り込みの重要性を強調した。


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