近藤誠医師×神前五郎医師の白熱大論争
週刊朝日 2013年09月20日
Astand:朝日新聞出版WEB新書より
◇第1章 『白い巨塔』財前五郎のモデル・94歳外科医から近藤誠医師への「果たし状」
・[インタビュー]雲の上の存在だった 信念貫く姿勢に感服
◇第2章 がん放置療法をめぐる大激論 近藤誠医師×神前五郎医師
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第1章 『白い巨塔』財前五郎のモデル・94歳外科医から近藤誠医師への「果たし状」
激しく力強い文字が記された手紙が編集部に届いた。
〈近藤誠氏の「がんもどき」理論は科学的に考えれば間違っている。「がん放置療法のすすめ」の読後感を、大阪大学外科学講座同窓会誌・絆刀(はんとう)に投稿し、8月3日の発行後、それを近藤氏に送ります。がんもどき理論は近藤氏自身によって撤回してもらわねばなりません〉
ベストセラーになっている『医者に殺されない47の心得』(アスコム)や『がん放置療法のすすめ』(文春新書)などの著者である慶応大学放射線科講師の近藤誠医師(64)が展開する理論について、誤りを正したいという意図の手紙だった。
その手紙の差出人を見て驚いた。大阪大学第二外科元教授で、かつて日本外科学会会長を務めたこともある医学界の権威、神前(こうさき)五郎医師だ。現在の年齢は94歳。名前を見てピンときた読者もいるだろう。神前医師は、山崎豊子が執筆した医療小説の名作『白い巨塔』の主人公である財前五郎のモデルとされる人物である。
1963年から約5年間にわたって「サンデー毎日」誌に連載された『白い巨塔』は、大阪大学を模した「浪速大学」を舞台とし、財前五郎と里見脩二という対照的な2人の医師を通して、医局制度や医療訴訟を描いた社会派小説だ。
消化器外科医の財前五郎は卓越した手術の技量を持ち、権謀術数を駆使して教授の座を狙う野心的な人物として描かれている。78年に田宮二郎主演でドラマ化。2003年には、唐沢寿明主演で再ドラマ化されている。
手紙の差出人である神前医師とは、大阪大学の消化器外科で腕を振るっていた名医という共通点があり、『白い巨塔』の連載時から、財前のモデルと噂されていた。
その神前医師が94歳にして、いまだに医学界で発言を続けていることは驚くべきことだが、いま注目を浴びている近藤医師の理論を撤回させようと意欲を示していることも、大きな衝撃だった。
神前医師が編集部に手紙を寄せたのは、本誌で掲載した近藤医師の著書『医者に殺されない47の心得』の検証記事を読んだためだ。
近藤医師は1980年代から雑誌や書籍などで、「抗がん剤は効かない」「がんは放置するのがいちばん」という主張を発表してきた。昨年発売された『医者に殺されない47の心得』が80万部を超す売れ行きになり、これに関連して、近年出版した書籍も話題となっている。本誌は、近藤医師の主張の科学的根拠を検証しようと、複数の専門医に取材、近藤医師のインタビューとともに記事を掲載したのだった。
では、その医学界の伝説(レジェンド)が、なにを訴えようとしているのか? 本誌は7月下旬、大阪の神前医師のもとを訪ねた。
「十数年前からずっと近藤医師の『がんもどき理論』を怪しいと思っていたんだけど、ほったらかしにしてしまっていたんだよ。それが去年、新聞の書評で近藤氏の著書を肯定的に書いてあるのを読んで、『これはいかん。私にはまだやり残したことがあった』とあわてて関連する本を数冊買いに行ったんだ・・・以下有料購読
週刊朝日 2013年09月20日
Astand:朝日新聞出版WEB新書より
◇第1章 『白い巨塔』財前五郎のモデル・94歳外科医から近藤誠医師への「果たし状」
・[インタビュー]雲の上の存在だった 信念貫く姿勢に感服
◇第2章 がん放置療法をめぐる大激論 近藤誠医師×神前五郎医師
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第1章 『白い巨塔』財前五郎のモデル・94歳外科医から近藤誠医師への「果たし状」
激しく力強い文字が記された手紙が編集部に届いた。
〈近藤誠氏の「がんもどき」理論は科学的に考えれば間違っている。「がん放置療法のすすめ」の読後感を、大阪大学外科学講座同窓会誌・絆刀(はんとう)に投稿し、8月3日の発行後、それを近藤氏に送ります。がんもどき理論は近藤氏自身によって撤回してもらわねばなりません〉
ベストセラーになっている『医者に殺されない47の心得』(アスコム)や『がん放置療法のすすめ』(文春新書)などの著者である慶応大学放射線科講師の近藤誠医師(64)が展開する理論について、誤りを正したいという意図の手紙だった。
その手紙の差出人を見て驚いた。大阪大学第二外科元教授で、かつて日本外科学会会長を務めたこともある医学界の権威、神前(こうさき)五郎医師だ。現在の年齢は94歳。名前を見てピンときた読者もいるだろう。神前医師は、山崎豊子が執筆した医療小説の名作『白い巨塔』の主人公である財前五郎のモデルとされる人物である。
1963年から約5年間にわたって「サンデー毎日」誌に連載された『白い巨塔』は、大阪大学を模した「浪速大学」を舞台とし、財前五郎と里見脩二という対照的な2人の医師を通して、医局制度や医療訴訟を描いた社会派小説だ。
消化器外科医の財前五郎は卓越した手術の技量を持ち、権謀術数を駆使して教授の座を狙う野心的な人物として描かれている。78年に田宮二郎主演でドラマ化。2003年には、唐沢寿明主演で再ドラマ化されている。
手紙の差出人である神前医師とは、大阪大学の消化器外科で腕を振るっていた名医という共通点があり、『白い巨塔』の連載時から、財前のモデルと噂されていた。
その神前医師が94歳にして、いまだに医学界で発言を続けていることは驚くべきことだが、いま注目を浴びている近藤医師の理論を撤回させようと意欲を示していることも、大きな衝撃だった。
神前医師が編集部に手紙を寄せたのは、本誌で掲載した近藤医師の著書『医者に殺されない47の心得』の検証記事を読んだためだ。
近藤医師は1980年代から雑誌や書籍などで、「抗がん剤は効かない」「がんは放置するのがいちばん」という主張を発表してきた。昨年発売された『医者に殺されない47の心得』が80万部を超す売れ行きになり、これに関連して、近年出版した書籍も話題となっている。本誌は、近藤医師の主張の科学的根拠を検証しようと、複数の専門医に取材、近藤医師のインタビューとともに記事を掲載したのだった。
では、その医学界の伝説(レジェンド)が、なにを訴えようとしているのか? 本誌は7月下旬、大阪の神前医師のもとを訪ねた。
「十数年前からずっと近藤医師の『がんもどき理論』を怪しいと思っていたんだけど、ほったらかしにしてしまっていたんだよ。それが去年、新聞の書評で近藤氏の著書を肯定的に書いてあるのを読んで、『これはいかん。私にはまだやり残したことがあった』とあわてて関連する本を数冊買いに行ったんだ・・・以下有料購読
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