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2013/02/16(土)東京渋谷区「こどもの城」で行なわれた講演会に少人数(約20人)ではあるが、関心を持つ人々が集まって、著者と序文を寄せた高山眞知子女史の話を聞いた。



私は執筆の意図・目的、執筆の姿勢、これまで一般に教会員が目にしなかった新しい内容の一部を紹介した。目的は末日聖徒イエスキリスト教会を異端視、あるいはカルト視する人々に対し、日本人の目から見て、また私の目から見て十分キリスト教的な宗教と言えるのではないかということ、そして日本の末日聖徒にとって入手できる情報が限られているので情報を提供することであることを話した。執筆の姿勢はリチャード・L・ブッシュマンに従って、LDS教会を尊重しつつ教会にとって芳しくない事柄も含め正直に扱うよう努めたことを説明した。

内容は、著者が過去二三十年取り組んできた重要なテーマを敢えて全部網羅していることを述べた。例えば、初期のモルモン教会が周辺住民から排斥・迫害された原因を住民側の視点からも見る必要性があること、教徒側の自警団の一部が時に暴走することがあって問題を悪化させたことなど。また、1924年に伝道部が閉鎖された理由として、「日米関係の悪化により」という記述が一般の事典にまで記述されているが、実際は伝道不振が第一の理由であったことをリード・L・ニールソンなどの研究者が確認している。

質疑では、「第三の視点をさぐる」というが、第一(護教的)第二(教会に敵対的)の見方も明確に書くべきではなかったかという指摘があった。また、モルモン書を偽典視しているのか、という質問が出された。それに対しては、昔ローエル・L・ベニオンという、皆から尊敬されていた教会教育部の人が地理的な探求を断念した例をあげて、私は「然り」と回答した。(偽典と呼ぶことについて高山先生は、むしろ「シュ―デピグラファ(Pseudepigrapha)」と呼ぶ方がよいのではないかと提案された。)

この本は、大袈裟かもしれないが、生涯かけて探究して得た理解を次世代に伝えたい気持ちから、力を振り絞って書いたいわば「遺書」のようなものと思っている。

なお、原稿は書き終えた後、高山先生から全般にわたって詳細に丁寧な監修と呼べるほどの編集指導を受けていた。ただ、著者の守備範囲を越えたり(例えば経済的なテーマ、大統領選挙関連の時勢のテーマなど)力量、与えられた時間の関係で、幾つかの重要な提案や期待に応えられなかったので高山眞知子監修とすることは出来なかった。



そしてこの日、ゲストスピーカーとして来場いただいた高山眞知子先生に、初めに話していただいて、また、教会の集会風に短めに終わった私の話の後に再び登壇してもらった。彼女の話に私を含めて聴衆は耳を傾け、優れた高いレベルの授業を聞く思いで楽しいひと時を過ごした。

拙著に寄せられた序文を説明した後、最近気づいている事柄を幾つか紹介された。いずれも興味深く、また大きな(あるものは論争を呼びそうな)テーマで楽しい授業を聞いた思いであった。

*天理教で自身の宗教について彼らの間で研究が進んでいる。これとLDSの間で自らの宗教の研究が進んでいるのが類似していて興味深い。

*什分の一の考えがロムニーのマサチューセッツ州州民皆保険に反映され、それがオバマケアにつながっていると見ることができる。・・LDS教会は冨の再配分を行なっていて(什分の一で集め、教徒の福利と社会の人道支援に支出していて)一種の社会主義である。

*途上国でLDSに改宗する人たちは一代目であり、LDSのユニークさにひかれて加入している。それに対し米など5,6代目になると制約を緩めてほしいと言いだすのは微妙な問題である。(これを聞いて日本人もそうなのかもしれない、自分も改宗55年になって該当するのかと考えた。)

*人数だけが問題なのではない、小数でも国のエリートやリーダーにいるか、どういう階層の人が教会を構成するのかも大事ではないか。

*モルモン教は「遅れてきたまじめなプロテスタント(「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の担い手)」と見ることができるのではないか。

*両親と亡夫はキリスト教徒であって、信仰心を尊敬するが私(高山女史)は信仰心がない。末日聖徒には立派な友人・知人がいて、人をひきつける力がある。ある意味LDSが羨ましいと思うことがあるが、二の足を踏んでいる。(私は女史を日本のジャン・シップス女史と呼んでいる。)

*LDS教会の賢いところは啓示で変わるというところ。啓示によると宣言すると偉大な権威をもってころっと変化できる。同性愛と女性司祭の問題はもうすぐ公認になると見ている。時間の問題。

なお、出席者の構成は二三名を除いて末日聖徒か元会員で、3時に終了後も高山先生を囲んで個人的に話す人々が残っていた。(文責、沼野治郎)

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