松見の滝は、「日本の名瀑百選」のひとつ。
南八甲田火山群に源をもつ黄瀬川の上流、新第三紀の火山岩(デイサイト、玄武岩)に懸る。
黄瀬林道からアプローチして、初めて視界に壮大な岩肌と二段の滝が
現われた時の感動は大きい。
松見の滝の「松」は、断崖の頂きに見える
姫小松(キタゴヨウ)だ。
岩盤には柱状節理が見える。
この岩は荒川の城ヶ倉のものと同じだという。
滝の上流には延々とゴルジが続くという。
ルートになる林道は、土砂崩れ等が頻発しているためか、奥入瀬川から
分岐してすぐに通行止めとなっている。
徒歩では片道三時間半かかり、簡単には探索できない。
大町桂月の探訪記があったので、参考のため、ここに引用する。
『 大町桂月遺稿 十和田湖 』
昭和11年8月1日発行 編著 生出一匡 より抜粋
「松見の瀧」より |
・・・・・・・・・午前十時に至りて、『山の神(太田吉司氏)』また来たりて曰く、この模様ならば、佳かるべし。雨を衝くの勇ありや否やと。大いに有りとて起つ。百穂が恵与の真綿を背中に入れて綿入れを借りて着、頭には『ばおり』を被り、脚には『はばき』をつけ、蓑を着る。太田氏先に立ち、一人の男後ろより余を護衛してゆく。 路なき山を幾度か上下して、黄瀬川の渓流に出たるまでに、一時間半かかりぬ。ここよりは、太田氏の言ひしごとく、四十回、黄瀬川を徒歩する也。左岸に瀧多し。その中にて、鍋倉の瀧といふは、はじめ二丈ばかり奔流し、直ちに噴水のごとく、斜めに飛び上がり、三丈ばかりにして岸壁に当たりて、五六丈の懸崖を潟下す。素人受けのする奇瀑也。 松見瀑、一に黄瀬の瀧といふ。一山全く骨を現し、上は裂けて鋏のごとし。その合する処より一川の水、總束せられて直下す。およそ二十丈、下はまた五六丈の巌を蔽うて下る。この上方の二つに裂けたる巌の山は、姫小松を戴く。後ろを見れば、巨巌天を衝きて、それの頂にも、姫小松生ひたり。このあたりの山々には、松なし。ただここのみにあるを以て、松見の瀑といふなりとぞ。岩質はと問ひば、玄武岩なりといふ。巌に松、而して二十丈の飛瀑といふのみにても山水の遊びに慣れたるものは、既に飛び立つ思ひすべき也。・・・・・・・・ |
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