世態迷想・・抽斗の書き溜め

虫メガネのようであり、潜望鏡のようでも・・解も掴めず、整わず、抜け道も見つからず

残像(7) 長馬(ながうま)

2018-03-19 | 記憶の切れ端

7)裸足の小学生

 

凍えた足先

冬になると、子供の手足はしもやけになっていた。

破れた足袋や手袋が当たり前の時代。

教室の暖房なんてあるわけない。

しもやけになった手や足の指がかゆい。

寒い日の教室では、陽のあたる場所に集まっては、

寄り添って踵だけで足踏みしていた。

 

寒い期間、男子生徒が夢中になったのが長馬だ。

休み時間になると運動場に飛び出し、参加者を2分し、一方の一人が、

校舎の壁とか立ち木を背に、脚を広げた立姿になる。

その生徒の股ぐらに同じチームの誰かが首を突っ込み馬の背を作る、

その馬の股ぐらに次の者がまた首を入れる、その分だけ馬の背が伸びる、

同じく次から次に馬の背を長くしていく。

つまり参加者が多いほど馬の背は長い。

一方のグループは乗馬する側で、長くなった馬の背に後ろから走り来て、

なるべく背の前の方に飛び乗るのだ。

馬の背が長いほど難しく、面白い。長ければ長いほど勢いが必要で、

受ける背の方の衝撃が大きい。

耐えて馬の背を崩さないようにするのが馬組の仕事だ。

乗り手で落馬すれば脱落だ。

乗り手組は長い馬の背になるべく衝撃を加えながら崩すしにかかるゲームである。

中には自分の尾てい骨が馬の背に衝撃を与える飛び方を工夫する者もでる。

全員が飛び乗っても馬が崩れなかったら、馬組の勝ちだ。これを交互に繰り返す。

双方ともこれはなかなかの運動になり、寒さを忘れる。

ボクは強い体躯ではなかったが、軽業的なことは得意で、好んで参加していた。

 

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