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ノーベル賞受賞研究が達成された年齢が変化している:科学技術政策にどう反映するべきか

2011-12-06 | 日記

                          

上のグラフはC&EN(Chemical and Engineering News)から転載したもので、ノーベル賞受賞者の研究が達成された年齢(受賞した年齢ではない)が年とともにどのように変化したかを示したものである。この記事が問題にしているのは、その年齢がだんだん高齢化していることである。グラフから明らかなように研究者が革新的な成果を挙げることが出来るのは30代と40代である。高齢化の原因が成果を挙げるのに必要なトレーニングに時間がかかるためで、その結果、研究者としての実力を出し得る期間が短縮されているという問題提起である。

このグラフの出所がアメリカの全米経済研究所(NBER)ということに私が興味を持った。さらに、この記事のもとになっている論文の著者の一人が最近が最近発表した論文「科学の進歩が科学政策を変える」も興味深い。

この論文では、妥当な科学技術政策をとることが国の発展をもたらすという前提に立つ。その上で科学が進歩するにつれてトレーニングに時間がかかることと、もう一つ、研究のグループ化がが進んでいるという現実を分析している。この現実に伴って科学技術政策の変更を提言している。

以前述べたように(8/18-9/4参照)、日本の科学技術政策がこの提言以前の段階にあるとして思えない。グループを統率する若手を支援する体制が整っていない。また、基礎科学での革新的な成果を生産活動に結びつける体制も十分ではない。あるテレビ局のキャスターが「基礎科学は真理を追求するものである」と述べていたが、これは必ずしも正しくない。物理でも素粒子物理や宇宙物理などまだまだ真理が深く解明されていない分野もある。しかしながら、材料に関する物理などでは、その本質は超伝導現象など一部を除いてほとんど解明されている。しかしながら対象となる材料の種類が多い。ナノ粒子まで含めるとその研究対象は多彩である。技術革新につながる突破口を見つけ出すことが如何に重要であるかは、これまでのノーベル賞受賞研究からも明らかであろう。このような基礎研究の推進と、突破口を生産活動に速やかに結びつけ得るような科学技術政策を模索する必要があろう。独立法人科学技術政策研究所があるが、その目指すところは少し異なっているようである。


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1 コメント

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ノーベル賞クイズ2020 (パスカル)
2020-06-07 19:23:55
ことしのノーベル賞候補の問題です。
マルテンサイト アダマンタン 境界潤滑 熱力学 状態図 ラマン分光
の技術用語が含まれる理論とは?
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