ナノテクノロジーニュース

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無駄に消費される熱エネルギーの回収:焦電効果の利用

2012-06-20 | 報道/ニュース

生成するエネルギーの約半分が熱エネルギーになって無駄に消えてしまうという。これを少しでも回収しようとする試みがある。熱電効果を用いたデバイスついていくつかすでに述べた(2/29,4/19参照)。熱電効果とは2種類の材料の接点に温度差があると発電するという現象である。

ジョージア工科大学の研究グループは、焦電効果を利用した熱エネルギー回収装置を試作した。焦電効果とは、特定の物質を加熱するとその両端に電圧差が生じるという現象である。この現象は、紀元前314年以来知られている現象である。この現象は、ピエゾエレクトリック効果(12/7,2/6参照)とよく似ている。ピエゾエレクトリック効果の場合は、材料に圧力を加えることによる結晶構造の変化によって電位差が生じるが、焦電効果の場合は温度上昇による結晶構造の変化によって電位差が現れる。この場合は温度変化によって発生した電位差は温度が一定に保たれると徐々に消滅する。この点が熱電効果と異なっている。
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ジョージア工科大学で試作された装置の模式図を下に示す。ITOとは酸化インジウムスズで、透明電極として広く用いられている材料である。酸化亜鉛が焦電効果を起こす材料であるが、多数のナノワイヤーを用いることによって局所的な温度変化を電気エネルギーに変換できるという効用があろう。すでに熱電効果を実用化している会社が存在するが(たとえばスウェーデンのBeakon Technologies)、焦電効果を効果を併用するのも興味深い。この焦電効果デバイスは、熱エネルギー回収だけではなくセンサーや温度イメージングなどにも利用できるという。

                     


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