ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

フォートニックインク

2011-12-11 | 日記

昨日に続いてフォートニックインクについて述べよう(http://opalux.com/wp-content/uploads/2011/09/Info-Dis-Magazine-June-2011.pdf参照)。フォートニックインクとは、インク状の高分子を媒介としたナノ粒子よりなるフォートニック結晶と考えてよい。

フォートニック結晶が色づいて見えるのは波の回折現象による。下図に示すように、波が結晶に入ると結晶面で反射される。結晶面で反射される波1と次の結晶面で反射される波2の進行距離の差が波の波長と等しいとしよう。反射波はお互いに強め合う。このような波長の波は反射され、結晶の中を透過出来ない。通常存在する結晶、たとえばダイヤモンドの結晶では、原子間の距離(したがって結晶面間の距離)はエックス線の波長領域にある。エックス線を使って結晶構造が解析出来る。フォートニック結晶では、ナノ粒子間の距離が光の波長領域になるよう調整してある。
                        

電圧を加えることによってフォートニックインクの色を変えるには、フォートニックインクを電気伝導性の基盤の上に塗布し、電解液を挟んで電圧を加える。図のようにインクを構成する高分子が伸びたり縮んだりすることによって反射される光の色すなわちインクの色が変化する。圧力、熱、化学物質による色の変化も同じような機構による。Opalux社は、フォートニックインク開発の第一人者であること誇っているが、応用開発に向けて協力相手を求めているようだ。                

顔料などが色づいているのは、一部の波長の光を吸収するからである。フォートニックインクが発する色は、回折現象に起因するもので、フォートニック結晶の構造に依存する色である。自然界にも蝶の羽などフォートニックカラーに起因するようなものが認められている。フォートニックカラーをもっと積極的に利用しようという試みもある。現在ディスプレイに用いられているのは液晶やLEDであるが、フォートニックカラーをディスプレイに用いるという考えもある(http://www.nanowerk.com/spotlight/spotid=22290.php)。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿