ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

グラフェンで金属の腐食防止を

2012-10-04 | 報道/ニュース

前回に引き続きグラフェン、すなわち単原子厚さで結合した炭素原子のシートの応用を紹介しよう。グラフェンは強くまた化学的に安定でしかも電気をよく通すという優れた性質を持っている。オーストラリアとアメリカの共同研究グループは、グラフェンで金属をコートすることにより金属の耐腐食性を格段に増大出来ることを示した。彼らは800から900℃でグラフェンを銅の表面に付着させた。その結果、耐腐食性が100倍以上増加したという。通常コーティングによる耐腐食性の増大は5、6倍程度だという。したがってグラフェンのコーティング効果は絶大であるといえる。しかも通常のコーティングと比べてグラフェンコーティングは化学的にも安定である。
http://www.nanowerk.com/news2/newsid=26835.php?utm_source=feedburner&utm_medium=email&utm_campaign=Feed%3A+nanowerk%2FagWB+%28Nanowerk+Nanotechnology+News%29#.UGUCJDEYmgc.google

この研究グループは、すでにニッケルやステンレススチールでも同様の耐食性があることを確認しているという。またさらにもっと低い温度でのコーティングで同様の効果が得られないか検討中であるという。炭素原子は地球上に有り余っている。グラフェンによるコーチングが実現すればその影響は大きい。


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15 コメント

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グリーンイノベーションスチール (最強金属ウォッチャー)
2012-10-23 21:03:39
 日立金属が開発した新型工具鋼 SLD-MAGIC(S-MAGIC)は微量な有機物の表面吸着により、金属では不可能といわれていた自己潤滑性能を実現した。この有機物の種類は広範囲で生物系から鉱物油に至る広い範囲で駆動するトライボケミカル反応であると。潤滑機械の設計思想を根本から変える革命というものもある。
 このトライボケミカル反応にもノーベル物理学賞で有名になったグラフェン構造になるようになる機構らしいが応用化の速度にはインパクトがある。
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たしかにノーベル賞級の発明 (これがじじぃの最強金属)
2013-01-04 17:53:24
 今月の、「プレス技術」を読みましたが、冷間工具鋼、SLD-MAGICのトライボロジー特性は凄いですね。微量の油をぬったセミドライ状態で、摩擦させるとまるでDLCのような自己潤滑性が出るなんて。コーティング費用分コストパフォーマンスが良く、いろんな摺動部品にも使えそうだ。
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凄い特殊鋼 (愛知の鍛造屋)
2013-01-16 18:31:36
 さすが、キングメーカーですね。
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シェールガス革命 (鉱山工具屋)
2013-01-28 18:21:52
 このまえのNHKのクローズアップ現代で、やっとシェールガス革命の事の重要さを認識しました。それでいろいろと調べていると、なんか日立金属の自己潤滑型高性能工具鋼が掘削用のドリルの材質に使われたこともブレークスルーの一助となったとか。
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世界最小のボールベアリング結晶体 (分子力学研究者)
2013-05-27 17:24:08
先日、その工具鋼の自己潤滑性とかいう話を日本トライボロジー学会で聞いたが、モリブデンとかカーボン、それにDLCコーティングなどの怪しげな論説とも整合し、油中添加剤の極圧効果にも拡張できる話は面白かった。ひらたくいえば世界初の本格的ナノマシンが表面に自己組織化されて、滑りが良くなるということだ。
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素晴らしいダイス鋼 (塑性加工屋)
2013-06-23 10:35:42
そういうことだったのか。ハイテン用のプレス金型に広がっていて、カジリはなぜ抑えられるか業界中の謎だった。このようなナノメカニズムが働いていたんですね。
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グラファイト層間化合物 (フリクション)
2013-06-28 17:25:42
そのナノ物質ってのがグラファイト層間化合物というものらしいですね。自己組織化のメカニズムに大変興味があります。
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金型業界の成長エンジン (自動車技術者)
2013-07-20 20:15:16
そういうことだったのか。この材料、ハイテン用のプレス金型に広がっていて、塑性加工時のカジリはなぜ抑えられるか業界中の謎だった。このようなナノメカニズムが働いていたんですね。しかしながら、固体材料の頂点である工具鋼に自己潤滑性があるとはなんとも無敵な話ですね。
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トライボケミカル新理論 (メカニック)
2014-11-23 17:54:12
 オイルコーティングの新理論、CCSCモデルは反響がでかいですね。ネット上の情報ではいかにもダイヤモンドに潤滑性があるように言及するものが多いがこの理論はそれをキッパリと否定しているところに好感が寄せられているのかもしれません。エンジニアの常識としてダイヤモンドは研磨剤であり潤滑剤ではないというのが一般的認識ですから。
 あと国産エンジンのダウンサイジング化が叫ばれているのも盛り上がりの一要因かもしれません。
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Unknown (GIC結晶の先端科学)
2018-05-04 21:17:31
 たしかに、SLD-MAGICは冷間プレス型のスタンダードになってきましたね。最近ではガンダムファンが、関節開発のブレークスルーとか科学的大発見だとか騒いでいるようですね。機械産業に対する波及効果はまだまだ進むでしょうね。
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