ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

小さくて強くてしかも

2011-09-08 | 日記
炭素原子は4個の結合の手を持っている。すなわち4個の他の原子と結合できる。この結合は共有結合と呼ばれ、最も強い結合である。ダイヤモンドでは、すべての炭素原子が隣接した4個の炭素原子と強く結ばれている。ダイヤモンドは最も硬い物質である。

グラフェンでは、炭素原子が平面状に並んでいるが、すべての炭素原子は3個の炭素原子と結合している。もう1本の結合の手はこの平面と垂直に伸びている。このためグラフェンの各炭素原子は他の原子をくっつけやすい。何層かのグラフェンが集まったのがグラファイト結晶で、鉛筆の芯はグラファイトの微結晶の集まりである。研究者がグラファイトから1枚のグラフェンを剥がすのに成功したのは2005年のことである(8/26参照)。グラフェンを丸めて円筒にしたのがカーボンナノチューブである。1枚のグラフェンでサッカーボールを作るとフラーレンになる。フラーレンには60個や70個の炭素原子を含むものが見つけられている。60個の炭素原子を含むフラーレンの直径は約1ナノメーターである。

これらのナノ粒子では、原子が共有結合で非常に強く結合されている。我々の周辺にある鉄は微結晶の集まりである。これに力を加えると、結晶と結晶の境界が動いたり、また結晶自身が変形する。鉄原子は金属結合と呼ばれる共有結合より弱い結合で互いに結合しているが、結合を切るのに必要な力を加えなくても変形が生じてしまう。これに対して、カーボンナノチューブやグラフェンの両端を持って引っ張っても結合が切れるまで切断しない。これらのナノ粒子は鉄よりはるかに強靭であることがわかる。

さらにこれらのナノ粒子は、原子が集まってできた分子である。分子の中では、電子が自由に移動できる。銅や鉄のような金属やシリコンのような半導体のなかでは、電子が移動中にその一部のエネルギーが熱に変わる。電子が移動中に原子を運動させてしまうからである。これらのナノ粒子ではそのようなことが起こらない。これだけではない。このほかにも、研究者たちは色々新しい性質を見つけ出している。

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