ナノテクノロジーニュース

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量子ドットも有望だ:ディスプレイとLED

2012-01-25 | 報道/ニュース

QD Vision社が2011年の北アメリカSEMI(semiconductor equipment and materials industry)賞を受賞したと報じられている。QD Vision社は、ナノテクノロジーを用いて光源やディスプレイを開発して来た会社で、今回の受賞は、量子ドット技術の商品化に向けての功績が認められたものである。同社の製品リストには量子光源とディスプレイとが挙げられている。さらに今後の計画として量子ドットLED(QD-LED)も記載されている。

量子ドットとはナノサイズの半導体粒子である(9/27,28参照)。その特徴は、サイズが小さいほど禁止帯の幅が大きくなることである。したがって、禁止帯の幅より大きいエネルギーを与える波長の光で電子正孔対を作り出すと、それより長い種々の波長の光を放出する。携帯電話やテレビのディスプレイに使用可能で、同社の宣伝によると、高効率(10/6参照)、安価、高安定度、色彩良好で、かつどのような形にも成形可能であるという。将来は量子ドットディスプレイが液晶に変わるものと強気である。

量子光源では、量子ドットに電子正孔対を作り出すのにエレクトロルミネセンスを用いる。エレクトロルミネセンスとは、半導体のpn接合(10/2,3参照)の両端に順方向に電圧を加え、電子と正孔を結合させて発光させる。この発光源に有機半導体(10/8参照)を用いることも可能で、したがって薄膜の発光源を作り出すことも出来る。エレクトロルミネセンスと量子ドットを組み合わせるとQD-LEDになる。広い平板型の光源など特殊な形の光源にはQD-LEDが有望であろう。

量子ドットは医療診断にも用いることが可能であるとされている(10/30参照)。癌細胞などに発光性分子を付着させることなどが行われているが、量子ドットの方が安定な発光が得られると考えられる。最近オランダとシンガポールの研究グループは量子ドットを水溶性にすることが出来るコーティング方法を開発した。このコーティング材料には他の分子を付着させることも可能で、種々の応用が開けるものと期待されている。



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