イギリスのMAST Carbon社が、EUが資金援助しているProNanoプロジェクトと協力して、新しい’biomedical carbons’を市場に送り出そうとしている。MAST Carbon社は、カーボンに関係したR&Dのコンサルティング会社で、多くのノウハウ持ちながら、これまであまり生産活動には携わってこなかった。今回ビジネスコンサルタント会社の協力も得て、差し当たっては傷の治療と血液フィルター用カーボンナノチューブの商品化を目指すという。
これまでカーボンナノチューブの医療への応用については何回か触れて来た。MAST Carbon社が目指しているのは、カーボンナノチューブをフィルターとして用いるものである。カーボンナノチューブを束ねる方法は前世紀末から開発されている。このような束を一定の間隔で配置することも可能で、これらが種々の目的のフィルター用薄膜として用いられている。傷の治療にカーボンナノチューブをどのように利用するのか不明であるが、おそらくフィルターとして用いるのであろう。
このほか、すでに断片的に説明して来たように、カーボンナノチューブは生体用センサーやドラッグデリバリーなど治療にも用いられている。これらについてはいずれまとめて説明しよう。
カーボン以外にも、種々のナノ粒子の医療への応用が進められている。Global Information社によると、ナノ医学はすでに市場として確立していて、2011年には730億ドル、2016年には1300億ドルの市場に成長するという。その範囲は、心臓血管、消炎、抗感染、中央神経系、抗癌に及んでいる。
最新の画像[もっと見る]
-
海水の淡水化 I 10年前
-
持続可能な開発と ナノテクノロジー 10年前
-
再び"透明マント" 12年前
-
原子炉専門家よ 反省・奮起を: 日本の原子力産業が衰退する 12年前
-
Janusナノ粒子の効用:光触媒作用の効率化 12年前
-
太陽光発電その後 12年前
-
新しいタイプのナノモーター 12年前
-
北大グループが次世代トランジスタへの第一歩を 12年前
-
電流測定の画期的進歩: 電子1個ずつの測定が可能に 12年前
-
大容量電気エネルギーストレージへの新しい道 12年前
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます