セルロースとはグルコースが直鎖状に連結した天然高分子である。植物の細胞膜などから採取することが出来、原料は豊富である。張力に対して強いことが特徴で、また化学反応によって種々の物質に変換出来る。さらに生物的に分解することも可能である。このような特性を生かしてナノセルロースを含む種々の複合材料が作られようとしている。これらの材料は、鉄と同様の強さを持つ絶縁体で、しかもナノサイズの孔を持つ多孔性材料で、広い応用が期待されている。原料が植物であるから、リサイクルも可能で環状にやさしい材料といえる。またナノセルロースを混入することにより、赤外から紫外までの光を反射する材料が製作出来るという。
種々の複合材料を合成するもととなるナノセルロース、ナノファイバーまたはナノ結晶、を製品化しようとする試みがなされていた。最近カナダのベンチャー企業CelluForce社は、世界で初めてナノ結晶セルロース(NCC)の生産プラントの操業を開始すると発表した*。生産プラントの立ち上げには、3600万ドルの投資が必要であったといい、カナダ政府ならびにこのプラントが存在するケベック州政府の援助も受けている。
NCCは、航空機、自動車、食品産業への応用が期待されるが、これらについては認可が下りるのに時間がかかりそうだ。差しあたって、ペイント、繊維、バイオプラスチックスに利用されるであろうという。
*http://www.nanowerk.com/news/newsid=23729.php?utm_source=feedburner&utm_medium=email&utm_campaign=Feed%3A+nanowerk%2FagWB+%28Nanowerk+Nanotechnology+News%29#.TugFcDojVso.google
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