ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

3次元エレクトロニクスとナノテクノロジー

2011-12-14 | 日記

ナノテクノロジーの大きな目標の一つは、ナノサイズのエレクトロニクス素子を集めて集積回路(コンピューターチップ)を作ることにある(ボトムアップ方式、8/18参照)。現在コンピュータチップの生成に使われているトップダウン方式が限界に近づきつつあるが、ボトムアップ方式が機能し始めるまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。

当面を切り抜けるいくつかの方法が試みられている。IBMは3次元エレクトロニクスを打ち上げている(http://www.smartertechnology.com/c/a/Optimized-Systems/IBM-and-3M-Herald-New-Era-of-3D-Electronics/)。これは、現在用いられているコンピュータチップを重ね合わせてその占有する場所を小さくしようとするものである。

3次元エレクトロニクスの問題の一つは、チップ間の接続方法である。有望視されているのは、TSV(through-silicon via)と呼ばれる方法である。viaは貫通孔を意味し、TSVとは基盤のシリコンに孔を開け導体を通して接続しようとするものである。導体にはこれまで銅線が多く使われて来たが、最近スウェーデンの研究者たちは、貫通孔の中にカーボンナノチューブの森(10/25参照)を成長させ他のシリコンチップと接続することに成功した*。カーボンナノチューブで接続すると、電気伝導度が高いこと、発生する熱量が少ないこと、柔軟性に富むこと、熱膨張が少ないことなど多くの利点がある。

ニューヨークタイムスの記事(12/5付)によると、インテル(INTEL)も独自の方法で3次元エレクトロニクスを開発している。詳細はよく分からないが、シリコンの基盤の上に多数のカーボンナノチューブトランジスタ(10/31参照)を垂直に立てたものもののようである。この計画にはカリフォルニア大学のグループが協力している。このほか、酸化チタンやガリウムヒ素をシリコンに置き換えようとする試みもある。いずれにしても、現在のシリコン平面型コンピューターチップを用いる限り、コンピューターの計算スピードの上昇を試みると、コンピューターが大型になり多大の電力を消費し熱を発生する。2019年までに計算速度を1000倍にしようとする計画もある中で、3次元エレクトロニクスの益々の進歩が期待出来る。
*http://www.nanowerk.com/news/newsid=23716.php?utm_source=feedburner&utm_medium=email&utm_campaign=Feed%3A+nanowerk%2FagWB+%28Nanowerk+Nanotechnology+News%29


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