ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

ナノコアックス:センサーや太陽光発電に

2012-03-29 | 報道/ニュース

昨日の記事でナノコアックスに触れたが、もう少し詳しく説明する必要があるようだ。

半導体ナノワイヤー(10/25参照)に光を当てて電子正孔対を作りそのままにしておくと再結合してしまう(9/25,27参照)。その際、電子正孔対が保有していたエネルギーは、光または熱になって放出される。電子正孔対が持つエネルギーを有効に使うためには、電子の通り道と正孔の通り道とを別にしておく必要がある。太陽光発電などによって生成したエネルギーを外部回路で有効に消費することが可能となる。

                   

2007年頃にアメリカの国立再生エネルギー研究所の研究グループが、電力を運ぶことが出来るナノコアックスケーブルを考案した。それには下図のようなエネルギー帯構造(9/25参照)を持つ二つの半導体を用いる。まず半導体Aのナノワイヤーを作り、その外側を同心円筒状に半導体Bで覆う。電子は伝導帯のエネルギーが低い空色の半導体を、正孔は価電子帯のエネルギーが高い黄色の半導体を移動する。

昨日述べたセンサーと同様に、このような半導体ナノコアックスを多数垂直に並べると、太陽光発電セルとなる。米中の共同研究グループは、酸化亜鉛(ZnO)とセレン化亜鉛(ZnSe)を用いて、太陽光発電セルを試作している。ほとんど総ての波長の光を吸収するという。
http://www.nanowerk.com/spotlight/spotid=20599.php

昨日述べたセンサーはこのようなナノコアックスケーブルの変形である。ナノワイヤーやカーボンナノチューブを基盤と垂直に多数作成することが可能であるから(10/25,12/14参照)、その外側に別の材料を付着させることによって多数のナノコアックスを作成出来る。最近ピッツバーグ大学の研究グループは、カーボンナノチューブと金のコアックスを作成し、硫化水素などが検出出来るセンサー(昨日の記事参照)として使えることを示した。
http://www.nanowerk.com/news/newsid=24349.php?utm_source=feedburner&utm_medium=email&utm_campaign=Feed%3A+nanowerk%2FagWB+%28Nanowerk+Nanotechnology+News%29#.T0RVd87hcsE.google