ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

ナノコーティングによる建築物のセルフクリーニング(自浄作用)

2012-03-03 | 報道/ニュース

以前に(12/17)、ナノコーティングによるセルフクリーニング繊維について説明した。セルフクリーニングには2手法が開発されている。はす(ロータス)効果、もう一つは酸化チタンの光触媒作用である。セルフクリーニングが建築物にも適用されようとしている。両者とも水がしばしば流れるところでなければ用をなさない。表面にごみが溜まってしまうとコーティングで施したナノ粒子が作用しなくなるからである。酸化チタンについては、抗菌作用も期待出来るが、光と水が必要である。また、毒性の恐れもある。

ヨーロッパにはPICADAプロジェクトがあって、ビルディング外壁を酸化チタン含有コーティング剤で塗装することを試みている。すでにミラノのビルディングの壁7000平方メートルを塗装し、周辺の酸化窒素量が60%減少したと報告している。また酸化チタンナノ粒子は壁材料と結合し、もはやナノ粒子ではなく従って毒性がないと報告している。
http://www.nanowerk.com/news/newsid=24381.php?utm_source=feedburner&utm_medium=email&utm_campaign=Feed%3A+nanowerk%2FagWB+%28Nanowerk+Nanotechnology+News%29#.T0bx3qRf3BM.google

日本のTOTO社は、HydroceraとHydrotectの2製品を発売している。前者は酸化チタンを後者はロータス効果を用いるので、前者はトイレなど陶器類に後者は建築材料に使用されている。酸化チタンは自然界の存在する安全な材料であるとしている。

このほかにも、セルフクリーニングに関する研究が報告されている。蝶々の羽はその表面に空気中の窒素や酸素の分子を捕えるため、水が付着しない。このことにヒントを得て、スウェーデン、アメリカ、韓国の共同研究チームは、シリコンの表面に孔、突起、溝、盛り上がりなどを造ることによって、水が付着し難くなることを見つけた*1。同時に、この表面は光を良く吸収するという。また、ドイツの研究チームはガラスにその主成分である酸化シリコンなどのナノ粒子を付着させることによって、セルフクリーニングが可能になることを明らかにした*2。ナノ粒子は小さいためガラスの光の透過性に影響を与えない。

*1http://www.nanowerk.com/news/newsid=23461.php?utm_source=feedburner&utm_medium=email&utm_campaign=Feed%3A+nanowerk%2FagWB+%28Nanowerk+Nanotechnology+News%29#.TssB_0s_RL8.google
*2http://www.nanowerk.com/news/newsid=23652.php?utm_source=feedburner&utm_medium=email&utm_campaign=Feed%3A+nanowerk%2FagWB+%28Nanowerk+Nanotechnology+News%29#.Tt7UYo1EZqU.google