ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

量子コンピューターに見通しが

2012-03-01 | 報道/ニュース

現在開催されているアメリカの物理学会講演会で、IBMの研究者は量子コンピューター研究の近況について講演し、かなり実現に近づいていると報告するようだ。

現在使用されているコンピューターの情報処理の基本ユニットはビットで、一つのビットとの数値が0であるか1であるか、あるいはonであるかoffであるかを決める。量子コンピューターでは、基本ユニットが量子ビット(qubit,11/3参照)である。量子力学では粒子の間に絡み合いがある。0または1の2状態を取り得る2個の粒子からなる量子ビットでは、00,01,10,11の4状態が識別出来る。各量子ビッドが、粒子が0の状態をとるかまたは1の状態をとるかを同時に決めることになる。粒子の数を増やすことも出来る。計算スピードが格段に増加することが理解できよう。

すでにいろいろな超伝導量子とが提案されているが、動作誤差が問題である。IBMの研究によると、超伝導体を用いた量子ビットがかなり高い精度で動作するようである。

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2月17日付のニューヨークタイムス紙にも量子コンピューターの記事が掲載されていた。Scott Andersonという量子コンピューターが専門のMIT教授の記事であるが、量子コンピューター計画が進行すると、その計算速度は計り知れないほど大きくなるそうだ。その発展は十分期待出来るが、実現までに何年かかるか予想出来ないという。現在使われているコンピューターの青写真が作られたのは1830年代であるが、その当時コンピューターの実現まで予想出来なかったのと同様の状況であるともいう。

この記事には興味ある指摘がなされている。ナノテクノロジーに関する問題など、材料の物理や化学には量子力学(8/19,24,27参照)が使われている。もちろん現在のコンピューターで計算が可能であるが、その精度が限定されている。量子ビットは量子状態をそのまま使うのであるから、この分野での格段の進歩が予想される。量子ビットの概念を用いると量子力学が教えやすくなったともいう。