ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

量子ビットとビット(バイナリディジット):量子コンピューターとは

2012-03-10 | 報道/ニュース

現在使われているコンピューターの動作ユニットはビットである。これはbinary digitの略で、1か0の二つの状態をとることが出来ることを意味する。たとえばトランジスタのゲートに電圧を加えドレインとソースとの間に電流が流れる状態を0、ゲートに電圧を加えないでドレインとソースとの間に電流が流れない状態を1とすれば、0、1のいずれの状態にするかを外部から操作出来しかもいずれにあるかを読み取ることが出来る。

数日前に(3/1参照)超伝導を用いた量子ビットが有望であると記した。それ以外にもいろいろな量子ビットが提案されていて、それらの改良版が次々と報告されている。ダイヤモンドも量子ビットとして有望であるという報告がニュースに出ていたが、その内容は余りにも専門的なので、ダイヤモンド量子ビットの原理だけを説明しておこう。
http://www.nanowerk.com/news/newsid=24523.php?utm_source=feedburner&utm_medium=email&utm_campaign=Feed%3A+nanowerk%2FagWB+%28Nanowerk+Nanotechnology+News%29#.T1ljEL8ZxLo.google

ダイヤモンド結晶の炭素原子を窒素原子で置き換えたものが量子ビットになる。窒素の周辺には2個の電子が入ることが出来る。2個の電子スピン(9/25参照)の向きが反対である方がエネルギーが低い。電磁波を加えると容易に電子のスピンの向きを揃えることが出来る。第一の電子をA、第二の電子をBとし、スピンの向きを0または1とすると、エネルギーが低い状態ではA電子が1でB電子が0またはA電子0でB電子が1、エネルギーが高い状態ではA、B電子が共に0または1である。このいずれの状態にあるかは蛍光測定により容易に識別出来る。A原子とB原子とを区別するには、窒素原子核のスピンとの相互作用や、すぐ近くに同種の窒素原子を配置して相互作用を利用する方法が考えられている。

上の例では、電子数が2であったが電子数をさらに増やすことも可能である。以前少し曖昧な説明をしたが(10/13,11/3,3/1参照)、今回の説明で1量子ビットが相当数のビッドをもつ現在のコンピュータのような働きをすることが理解できよう。