ナノテクノロジーニュース

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プラズモニックスにはいろいろな使い道が:フィルター、太陽光発電、センサー、癌治療など

2012-03-09 | 報道/ニュース

たくさんの電子が集団的に変位すると、残された正の電荷に引き戻される。これによって生じる振動が、プラズマ振動である(11/17,12/21参照)。材料の中でプラズマ振動が生じると振動の起こる場所が移動する。移動するプラズマ振動をプラズモンと呼ぶ。プラズマ振動には固有の振動数がある。その振動数と同じ振動数の光が材料に当たると、共鳴が起こって光のエネルギーがプラズモンのエネルギーに変化する。ナノ粒子のプラズモンの固有振動数はその大きさや形に依存する。

ナノ粒子を周期的に規則正しく配置した系は、その幾何学的配置に応じて光に対して特有な性質をもつ(11/18,12/11参照)。このような系を用いて光を制御する技術をフォートニックスという。金属ナノ粒子を規則正しく配置した系は、ナノ粒子のプラズマ振動固有周波数の光に対して特有な性質を持ち、プラズモンを制御出来る。この技術をプラズモニックスという(11/18参照)。以前に金ナノ粒子によるプラズモニックスを説明した(11/19参照)。

金属ナノ粒子を規則正しく配置した系は、特定の波長の光と共鳴して強く吸収するため、フィルターとして利用出来る。また吸収係数が大きいためプラズモンのもつエネルギーを有効に使うことによって太陽光発電の効率を上げるのに役立つ。また、幾何学的配置に敏感であるため、センサー(生体内センサーを含む)にも利用出来る。

フランス、シンガポールの合同研究グループは、図のような奇妙な形をした金ナノ粒子があらゆる方向から入って来た赤外線を効率良く吸収する。吸収したエネルギーを熱に変え癌細胞を焼き殺すことが出来るという。赤外線は体内を透過するので、その実用化が期待出来る。

                                      
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