三十九、献香は左手、先に中央
左手は善に属し、刀を持たず、人を打たぬので、左手を焼香に用いるのはその善をとったのであります。
先ず中央に香を立てるのは、道義であります。
この真道は本より『中一』の伝えであり、中とは不偏不倚(ふへんふい)で、一とは唯一無二であって、即ち道の本体を申すのであります。
焼香する時に、先ず中央に立てる事は、道体を樹立する事であります。
中一とは道体でその中は我即ち自分であります。
ここに一つの城を喩(たと)えてみると、自分が東の関門にいれば、城は西にあるが、自分が南の関門にいれば、城は北にあります。
しかし、その実、城が移動したのではなく、直ぐ東になったり西になったりするのは、自分が動くからであります。
我が身は中に属しまして、天上地下の一切の万物は皆自分を中心にして指すのであります。
天地人を除いて大となすは、到る処で中心をなすからであり、そこで人々は自分自身を小となしてはならぬのであります。
続く