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春庭ことばのやちまた>芭蕉はせを

2012-04-26 07:00:00 | 日本語学
2012/04/26
春庭ことばのやちまた>芭蕉はせを

芭蕉はせを
haruniwa
>ところで、ひらがなの「は」はどうして「者」という字の略語になっているのでしょうか?
最近芭蕉に興味を持っていて、「芭蕉」の石碑に「はせを」とあり、その草書体?行書体?「は」の文字が「者」を崩した「は」になっています。 >

現代仮名遣いの「は」は、「波」という漢字の草書体をもとに字体が作られました。明治期に標準表記が定まるまでは、さまざまな仮名が用いられており、明治以降つかわれなくなったこれらの仮名は「変体仮名」と呼ばれています。

「HA」にあたる仮名には、「波」「者」「盤」「八」の草書体があります。
芭蕉は仮名文字で署名するとき、本来なら「芭蕉」の仮名文字は「はせう」となるはずなのに、わざわざ「はせを」と書いていました。
芭蕉の「は」には、「者」の草書体からつくられた=「は」をあてた。「はせう」であるべきところを、おそらくは間違いであることを承知の上で「はせを」と書いたのは、芭蕉のこだわりなのでしょう。江戸時代の仮名遣いは、藤原定家が定めた「定家仮名遣い」が基本になっています。しかし契沖は、定家仮名遣いを訂正した仮名遣いを定め、これが現在では「旧仮名遣い」「歴史的仮名遣い」と呼ばれています。
このように、江戸時代には仮名遣いの用例がかなり揺れている時期なので、芭蕉も「はせを」という表記でよしとしたのでしょう。

2008-12-21 09:55:13 コメント(0) ページのトップへ